カオナビがAIで目標と評価を自動化 組織の公平性と生産性を底上げする新機能

2025年12月11日、カオナビはタレントマネジメントシステム「カオナビ」において、AIが目標設定と人事評価を支援する新機能「AI目標・評価アシスト」の提供を開始した。本機能によって、評価のばらつきを抑え、全社的な目標品質を引き上げることが期待されている。
AIが目標設定と評価を支援し品質と公平性を標準化
今回の新機能「AI目標・評価アシスト」は、目標設定と人事評価の両面でAIが実務を補完するものだ。
目標設定では、曖昧な表現や抽象度の高い記述に対して、AIが行動指標や成果指標を追加するよう促し、SMART原則やFAST原則(※)といったフレームワークに沿った具体的な改善案を自動生成する。
従業員の等級や職務要件、過去の評価データも参照することで、自己成長につながる要素を盛り込みつつ、目標の精度を揃えられる点が特徴となる。
あわせて、文章の誤りを整える校正機能も提供され、目標文面の質を一定水準に引き上げることが可能だ。
評価シーンでは、社内の評価基準と過去の評価データをAIが分析し、整合性のある評価コメント案を提示する。
評価者が記述したコメントの矛盾点も検知し、等級や要件との齟齬を調整することで、上司ごとに評価の基準が異なるといった従来の課題を是正する設計になっている。
※SMART原則・FAST原則:いずれも目標設定のフレームワーク。SMART原則は具体・測定可能・達成可能・関連性・時間制約を示し、FAST原則は頻度・野心・具体性・透明性を重視する。
標準化がもたらす効率化と納得感の向上 AI依存のリスクにも備えが必要
AIによる目標設定と評価の標準化は、多くの企業にとって効率化を後押しする可能性がある。特に、評価プロセスの属人性が強かった組織では、基準の統一や品質の平準化によって従業員の納得感が高まり、エンゲージメント向上につながると期待される。
また、管理職の負荷が減ることで、人材育成や戦略的マネジメントに時間を振り向けやすくなる点も利点として指摘できる。
一方で、AIが提示する目標やコメントに過度に依存すると、組織固有の文脈が十分に反映されにくいという懸念もある。
評価コメントが定型化し過ぎる場合、従業員のモチベーションに影響が及ぶ可能性も否定できない。そのため、最終判断を人が行う仕組みや、運用ルールの明確化が重要になる。
また、AIが参照するデータの質や偏りをどのように監視し、評価の公平性を確保するかは継続的に検討すべき論点となる。
タレントマネジメント領域におけるAI活用は今後も拡大していくとみられる。今回のカオナビの取り組みは、目標・評価の枠を超えて、将来的に配置・育成・報酬設計といった人事領域の統合的な最適化へ発展する可能性もある。
AIが「人材データの活用基盤」として企業の意思決定を支える動きがどこまで進むのか、今後の展開が注目される。
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