ソフトバンク、法人向けAIエージェント「AGENTIC STAR」を提供開始

2025年12月11日、ソフトバンク株式会社は法人向けAIエージェントプラットフォーム「AGENTIC STAR」の提供を開始した。SaaS型で利用可能で、企業の業務効率化や戦略立案支援を目的としたサービスである。

自律的に業務を遂行するAIエージェントを統合管理可能に

「AGENTIC STAR」は、業務ゴールを理解し、担当者と連携しながらタスクを自律的に進めるAIエージェントをSaaS型で提供する。これにより、部門や既存システムをまたぐAIエージェントを統合的に管理でき、戦略立案や資料作成などの負荷を軽減できる。

AIは社内システムや複数エージェントと安全に連携可能なMCP（※）をサポートし、業務プロセスの自動化を加速する。
SaaS型のほか、カスタマイズモデルや2026年3月提供予定の外部接続モデルおよび開発基盤提供モデルも用意され、企業の環境に応じた柔軟な導入が可能だ。

AIエージェントはユーザーの指示だけでなく意図や背景も解釈し、自律的にタスクを遂行する。検索や分析、資料作成まで一連の業務を支援し、人の介在が必要な場面では確認を促しながら処理を進められる。

80種類以上のツールを活用し、文書作成や表計算、プレゼン資料、画像・動画編集、アプリ開発など多様なタスクを一つのプラットフォームで実行可能である。
独立した仮想環境と多層防御によるセキュリティー設計や、長期記憶による知見の蓄積も特徴だ。

ソフトバンクでは営業や開発部門で500人超の社員が先行導入しており、業務効率化と知見活用の両面で成果を上げている。今後は機能向上と連携範囲拡大に注力し、企業現場での活用をさらに支援する方針である。

※MCP（Model Context Protocol）：AIと既存システムや他エージェント間で安全に情報やタスクをやり取りするための公開仕様。

自律AIがもたらす変革　効率化と統制管理の両立が焦点に

自律型AIエージェントの普及は、組織の作業構造そのものを再編する可能性がある。
複雑な工程をまとめて自動処理できるため、担当者が判断や調整に集中できる環境が生まれやすくなるだろう。長期記憶を活用すれば、担当者の方針を踏まえた出力が増え、社内ノウハウの伝達が迅速になる効果も見込まれる。

一方で、自律性が高いほど設定内容の誤りが全体の作業に影響する懸念も生じる。
特に権限管理やログ監査は企業側の運用体制に左右されるため、導入後の統制が重要になるだろう。AIの生成物をどの段階で人が確認するかという線引きも、実務上の論点になりやすそうだ。

導入が拡大すれば、部署横断でのタスク統合が進み、ワークフロー再設計の動きが広がると予測できる。人員配置の最適化や作業負担の再配分が議題に上がり、業務全体の刷新に波及する可能性が高い。

今後は、複数AIエージェントが協調して業務全体をハンドリングする構造が標準化する見通しだ。企業は効率化と統制強化の両立を求められるため、自律AIをどう扱うかが競争力の分岐点になると見られる。

ソフトバンク株式会社 プレスリリース

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