生成AI利用の首位はChatGPT 生活者調査で見えたAI浸透の実態と課題

2025年12月10日、国内調査機関のMMD研究所が、18〜69歳の一般生活者1000人を対象にしたAIサービス利用実態調査の結果を公表した。生成AIではChatGPTが最多利用となり、ECや地図アプリなど生活動線でのAI需要も顕著になっている。
AI利用者の3割超が生成AIに接触 ChatGPTが国内トップに立つ
調査によると、AIサービスの利用経験者は35.7%で、生活者の約3人に1人がAIに触れた経験を持つ。
利用経験のあるサービスは「AIによる検索機能」が61.7%で最多となり、「AIチャットボット」が35.5%、「翻訳・画像補正などのAI機能」が31.8%と続いた。
生成AIの利用では、対話型AI利用者のうちChatGPTが80.6%で首位となり、Google Gemini(50.8%)、Microsoft Copilot(39.1%)が続いた。
普段利用するデジタルサービスではECサイト(49.6%)、動画配信サービス(48.0%)、ニュース・情報サイト(45.0%)が上位を占める一方で、「AIにサポートしてほしい領域」では交通・地図アプリが37.2%で最も高かった。
ECや旅行予約などのオンラインプラットフォームでAIが活用されていると感じている人は58.8%に及び、そのうち66.2%がメリットを実感。「好みに合った商品やプランを提案してくれる」(31.3%)、「見つけられない新しい商品や旅行先を知ることができる」(30.9%)、「困ったときにAIチャットですぐに質問・相談できる」(30.8%)などが評価ポイントとして挙がった。
また、ECや旅行予約でAIに任せたい範囲では「自分に合う商品やプランを提案してもらうまで」が30.5%で最も多く、「実際の決済や予約の手続きまで」は3.6%にとどまった。
AIに連携してよい情報は「ポイントや会員情報」(40.9%)が最多で、「閲覧履歴」「購買履歴」が続いた。
利便性と主導権、データ許容度のバランスが今後の焦点に
今回の結果は、生活者がAIの利便性を受け入れつつも、自動化の範囲やデータ提供の境界を慎重に見極めていることを示していると言える。AIに「提案まで」を求める姿勢は、行動の最終判断は自分で行いたいという意識の表れであり、生活者がAIの役割を“補助的立場”として位置づけている構図が浮かび上がる。
一方で、検索・移動・購買といった日常導線にAIを組み込む動きは今後さらに加速すると考えられる。特に地図アプリやECのように、意思決定の密度が高い領域では、AIが行動を滑らかにする効果が期待でき、ユーザー体験の差がサービス選択の基準になっていく可能性がある。
ただし、AIが判断プロセスに深く入り込むほど、透明性・説明可能性の重要性は増す。生活者が安心して利用できるためには、企業側がデータ利用の範囲を明確にし、選択権を保証することが欠かせない
。AIが「気づかないうちに支えてくれる存在」となる未来に向け、利便性と主導権のバランスをどう設計するかが次の課題となるだろう。
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