日立製作所、PKSHA AIヘルプデスクに生成AI検索導入 社内ドキュメント活用で自動回答率7割を目標に

PKSHA Technologyは、日立製作所の国内事業所の従業員が利用する「PKSHA AI ヘルプデスク」に、生成AIを活用したドキュメント検索機能を導入したと発表した。
Microsoft Teams上から社内マニュアルやFAQを参照した自動回答を可能にし、人事関連の問い合わせ対応を効率化する。
日立、AIヘルプデスクに生成AI検索機能を追加導入
2025年12月9日、PKSHA Technologyは、日立製作所向けに提供している「PKSHA AI ヘルプデスク」に、生成AIを用いたドキュメント検索機能を2025年夏から導入したと発表した。
対象は、国内事業所に勤務する約26,000人の従業員で、人事業務に関わる社内問い合わせが主な利用用途となる。
同ヘルプデスクは、日立製作所が2024年1月から「H!NTER」の名称で運用してきたものである。
これまで、メールやチャット、マニュアルなどのデータを基にFAQを自動生成する「PKSHA Knowledge Maker」を併用し、人事・経費精算などバックオフィス業務の問い合わせ対応を行ってきた。
今回追加されたドキュメント検索機能では、従業員がMicrosoft Teams上で質問を入力すると、AIエージェントが社内マニュアルや各種ドキュメントを検索し、関連情報を抽出した上で回答を生成する。
従業員は、個別の業務システムに保存されたマニュアルを探すことなく、チャット上で即時に回答を得られる仕組みとなっている。
日立製作所は、本機能の導入により、人事領域における問い合わせの自動回答率を7割まで高める目標を掲げている。
FAQやドキュメント検索で解決しないケースについては、担当部署への有人連携を行い、その後の応対ログを基にFAQを自動生成する仕組みも組み込まれている。
今後、日立製作所ではAIヘルプデスクの対象範囲を、人事・労務・福利厚生から採用関連領域まで拡大することを検討している。
人事問い合わせ自動化がもたらす効率化と課題
今回のAIヘルプデスク拡張は、大規模組織における人事問い合わせ対応の効率化を進める取り組みとして位置づけられる。
従業員側にとっては、問い合わせ窓口がMicrosoft Teamsに集約され、社内手続きに関する情報を迅速に確認できる点が利点だと考えられる。
一方、人事部門においては、定型的な質問対応をAIが担うことで、担当者の業務負荷軽減が期待される。
既存の社内ドキュメントやFAQをそのまま活用する点も特徴であり、新たなナレッジ整備に多大な工数を割かずに導入できる可能性がある。
一方で、生成AIによる回答の正確性や、情報更新の遅れによる誤回答リスクへの対応は重要な論点となり得る。
特に人事情報は制度改定が頻繁なため、ドキュメント管理体制とAI回答の根拠確認が不可欠だと言える。
PKSHAにとっても、本件は2万人超規模の利用環境での運用実績となり、他の大手企業への展開を進める上での参考事例になるだろう。
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