サイバーエージェントが「AI SCREAM」にNano Banana Pro実装 広告用画像生成の精度向上へ

サイバーエージェントは、同社が展開するクリエイティブ生成AIプラットフォーム「AI SCREAM」に、Googleの最新画像生成AI「Nano Banana Pro」を実装したと発表した。
日本国内の広告・コンテンツ制作現場における活用を主眼とした取り組みである。
AI SCREAMにNano Banana Proを実装
2025年12月8日、サイバーエージェントは、クリエイティブ生成AIプラットフォーム「AI SCREAM(アイスクリーム)」に、Googleが2025年11月に発表した画像生成AIモデル「Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image)(※)」を実装したと発表した。
AI SCREAMは、商用利用が可能な画像・動画・音声生成AIモデルを複数搭載し、素材生成から編集までを単一のUI上で行える仕組みとして設計されている。
2024年2月に社内で正式提供を開始して以降、広告事業を中心に利用が進み、生成された素材は累計8万点に達している。
サイバーエージェントは生成AI活用を巡る法的・社会的要請を踏まえ、2024年2月に画像生成AIガイドラインを策定しており、AI SCREAMはこのガイドラインに基づいて運用されている。
今回実装されたNano Banana Proは、日本語テキストの描画精度やレイアウト再現性、高解像度出力に対応する点を特徴とし、特にインターネット広告用バナー制作などでの利用を想定している。
なお、運用面では既存の著作物名や作家名を入力しないルールを設けるほか、生成物の類似性チェックを行うことで、著作権などの権利侵害を防止する体制を維持している。
サイバーエージェントは今後、画像に加えて映像や音声を含むマルチモーダル生成の拡充を進める方針を示しており、社内活用で培った知見を外部企業向けに展開するAIクリエイティブBPO事業の強化も視野に入れている。
※Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image):Googleが開発した最新の画像生成AIモデル。日本語テキストの高精度な描画やフォント・レイアウト指定への対応力を特長とし、広告やデザイン用途での利用が想定されている。
広告制作効率化の加速と運用課題
AI SCREAMへのNano Banana Pro実装により、広告制作工程における初期デザイン作成や素材準備を効率化する効果が期待される。
日本語テキストを含むビジュアル表現の精度が向上すれば、従来は人手で行っていた修正工程の一部をAIで代替できる可能性がある。
一方で、生成AIを広告領域で活用する際には、表現の画一化や意図しない類似表現が生じるリスクも考えられる。
特定モデルへの依存が進むほど、クリエイティブの多様性をいかに担保するかが課題となるだろう。
また、ガイドラインに基づくチェック体制を継続的に運用するには、一定の人的・技術的コストも必要になるはずだ。
AI SCREAMが広告制作の基盤として定着するかどうかは、効率化と品質管理の両立をどこまで実現できるかに左右されそうだ。
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