カウネット、「Flyle」を導入 AIでVOCを自動分析しCX向上へ

2025年12月5日、コクヨグループでEコマースサービスを提供するカウネットが、AIインサイト分析プラットフォーム「Flyle」を導入したと発表した。年間32万件超のVOC(顧客の声)を自動解析し、サービス改善の即時性を高める狙いがある。
カウネット、Flyle導入でVOC分析を全面自動化
カウネットは、株式会社フライルが提供する「Flyle」を導入し、コンタクトセンターやアンケートで収集する年間32万件超のVOCを網羅的に分析する体制を構築した。
従来は手作業での分析に依存しており、優先度の高いVOCに絞った改善に留まっていたが、AI導入により全件を迅速かつ詳細に解析できるようになった。
「Flyle」はキーワードだけでなく、各VOCが抱える具体的な課題や真のニーズを自動抽出し、改善策に直結する情報を提供する。例えば「新規登録が分かりにくい」といった漠然とした声も、「再登録や支払い設定に関する困惑」といった具体的内容まで特定可能である。
さらに、改善フローの可視化も進み、課題ごとのダッシュボードを自動生成し、施策の効果を定量的に把握できる。チャットボット対応の実施後、問い合わせ件数の減少や顧客行動の変化も即座に確認できるようになった。
この仕組みにより、VOCを単なる情報ではなく、CX向上の資産として活用可能になる。
カウネットは今後も、AIによるVOC分析を通じて「プロミスブレイク」の早期発見と解決を継続し、全ての顧客に価値ある体験を提供するEコマースプラットフォームの進化を加速させる方針である。
AI活用が拓く運用効率化の利点と、依存度上昇による課題
AI分析の活用は、作業負荷を軽減しつつ意思決定の精度を高める利点がある。
膨大なVOCを均等に扱えるため、属人的な判断の揺らぎが減り、改善対象の選定がより客観的になると考えられる。この変化は、顧客対応領域における生産性向上策としても注目度が高い。
一方で、AI解析への依存度が高まることによるリスクも存在する。モデルの推定結果が課題抽出の基準になりすぎると、現場担当者の洞察が活かしづらくなる可能性がある。
また、解析ロジックの透明性を適切に確保できなければ、改善理由の説明責任が難しくなる懸念も残る。
加えて、高頻度で改善を重ねる運用では、組織側の実行体制を維持する負荷も無視できない。施策の立案から実行、検証までを継続的に回し続けるには、部門横断の連携を保つ仕組みが不可欠になるだろう。
それでも、データ起点で顧客理解を深める価値は大きく、AIを用いたVOC解析は今後のEコマース企業に広く普及する余地がある。
得られた示唆をどの範囲まで活用し、どの段階で人の判断を加えるかが、最適なCX運営を左右する焦点になると考えられる。
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