DNPが生成AI競技へ参戦 AWS国際コンペティションで唯一の日本企業

2025年12月4日、大日本印刷(DNP)は米ラスベガスで開催された生成AI国際コンペティション「AWS AI League」世界大会に、日本企業として唯一選出され出場したと発表した。AWS主催のグローバルイベント「re:Invent 2025」内で行われ、世界の技術者が生成AI活用スキルを競った。
DNPが唯一の日本企業として世界大会に出場
AWS AI Leagueは、AWSの生成AIサービス群を活用して課題解決スキルを競う国際コンペティションで、2025年に初開催された。参加者は与えられたテーマに基づきモデル構築力や応用力、創造性を総合的に評価される仕組みになっている。
今回、DNPはAI実装に関する長年の取り組みとAWSとの協業実績が高く評価され、世界20社の出場枠のうち日本企業として唯一選出された。加えて、スタートアップ2社と個人参加者5名を含む計27名が本戦に進んだ。
DNPは10月にグループ6社・336名の技術者を対象に社内予選を実施し、優勝者が世界大会に出場した。社内での自律的なスキル強化を促す取り組みは継続しており、過去にはAWS主催の強化学習レース「DeepRacer Championship Cup」で優勝・準優勝を獲得している。
また、2023年には約3万人が利用できる生成AI環境を整備し、新規事業開発やDX支援に生成AIを幅広く活用してきた。こうした社内外の積み重ねが今回の国際舞台への登壇につながったと言える。
国際競技参加が示唆する日本企業の実装力と残る課題
DNPの出場は、日本企業が生成AIの実装力において存在感を高めつつある状況をうかがわせる。
国際競技で他国の技術者と直接競う場は、事業開発や技術戦略に生かし得る知見を得る契機となりやすい。
特に、世界的なベストプラクティスを学びつつ、自社の組織文化に合わせて生成AI活用を進められる点は、一定のメリットが期待できる。
一方で、生成AIの進化速度は依然として速く、日本企業はデータ活用基盤やモデル運用体制の整備といった課題を抱えているとの指摘も多い。
競技で得た成果を一過性のものにせず、組織全体のスキル向上につなげられるかは、中長期の競争力に影響する可能性がある。
また、安全性やガバナンスに関する取り組みを継続的に進めることも欠かせない。
DNPは今後、競技で得た知見や国際的なネットワークをサービス開発や社内教育に還元する方針を示している。
勉強会や社内コミュニティの強化を通じて、生成AIを活用できる人材を拡大する取り組みも続ける考えだ。
こうした活動が積み重なれば、日本企業が国際的なAI競技や技術コミュニティで存在感を広げる動きにつながる可能性がある。
関連記事:
生成AI活用で成果を上げた企業に共通点 PwCが5カ国調査の結果を公表












