Google検索AIが進化 Gemini 3とNano Banana Proを120地域で展開へ

2025年12月1日、米グーグルはGoogle検索のAIモードに最新モデル「Gemini 3」と画像生成特化の「Nano Banana Pro」を導入したと発表した。英語版を対象に約120の国と地域で提供を開始し、Google AI ProおよびUltraプラン契約者が利用できる。
Gemini 3とNano Banana Proが検索体験を刷新
今回導入された「Gemini 3」は、11月に発表された同社の最新大規模AIモデルで、推論性能が従来の「Gemini 2.5」から大幅に向上した点が特徴である。複雑な質問への応答精度が改善され、長文解析や意図理解における一貫性も強化されている。主要ベンチマーク(※)でも顕著な伸びを示し、生成型検索の基盤として位置づけられる。
一方の「Nano Banana Pro」は、Gemini 3 Proをベースにした画像生成モデルで、テキスト描画の正確性や構造理解が向上した。これにより、検索結果に画像生成を組み合わせた回答を自然な形で提示できるようになった。
グーグルは、今回の2モデルの導入によって、検索体験が「探す」から「生成される」プロセスへ移行すると説明する。英語版のみではあるものの、約120地域での提供により、生成AI検索の利用規模は今後さらに拡大すると見られる。
※ベンチマーク(※):AIの性能を客観的に評価するための指標。言語理解、推論、速度など複数項目から総合評価する。
生成AI検索がもたらす利便性とリスク、そして競争の行方
Gemini 3の投入は、検索の生産性を大幅に引き上げる可能性がある。特に、複雑な問いに対する応答の精度や一貫性が向上した点は、ビジネス調査や企画づくりにおける“情報取得コスト”の削減に寄与するとみられる。
画像生成を含む検索との一体化も、視覚的理解を重視する分野で価値を発揮する可能性がある。多様な情報が自然言語ベースで統合されることで、新しい調査スタイルが一般化する展望も見えてきた。
ただし、利便性の裏側では注意すべき課題も残る。
生成AIの回答は即時性と説得力が高いため、誤情報が混在した際に事実として拡散されるリスクがある。
また、出力の根拠が不透明なまま利用が広がれば、検索の信頼性が揺らぎかねない。特に、訓練データの扱いや著作権処理は透明性が求められる領域とされている。
さらに、生成型検索の普及は検索ビジネスのモデルにも変化を促す可能性がある。
リンク表示を前提とした広告モデルから回答生成型へ重心が移ることで、企業やメディアへの流入経路も変わるかもしれない。
各国のAI規制との整合性も課題になりつつあり、EUをはじめ説明責任を重視する地域では、より厳格な基準が求められるとみられる。
生成AI検索の本格普及は新たな競争を加速させると予想され、透明性の確保と安全な運用体制が、今後の優位性を左右する鍵になるだろう。
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