NEC、Agentic AIで営業支援ソリューション提供 営業DX後押し

2025年11月、NECはAgentic AIを活用した営業支援ソリューション「NEC Document Automation – for Proposals」を発表した。2026年3月下旬から国内提供を開始し、提案書とディスカッションシートを自動生成することで営業DXを大幅に前進させる狙いだ。
提案書と議論資料を同時生成 NECが営業DXを強力に推進
NECが今回発表した新ソリューションは、営業担当者の議事録や標準提案書を基礎データとして、顧客提案書とディスカッションシートを一度に自動生成する機能を備える。顧客の課題が明確でない場合でも、関連情報を抽出して論点を整理し、初期提案を短期間で構築できる点が強みだ。ディスカッションシートには、顧客の懸念や次回会議で確認すべき事項が体系化されており、提案書と組み合わせることで営業担当者のアプローチを高度化する。
背景として、生成AIやクラウドの普及により営業業務の複雑化が進み、属人的な知識に依存しない提案プロセスが求められている。NECは社内外の蓄積データを活用する仕組みを組み込み、組織全体で高品質な提案書を作成できる体制を狙う。また、モジュール型設計のため既存の営業支援システムと安全に連携でき、企業が持つセキュリティポリシーを維持しながら導入可能だ。
本ソリューションの中核にはNEC欧州研究所が開発したAIオーケストレーション技術(※)が搭載され、提案書作成AIとディスカッションシート作成AIが連動して高度な資料生成を行う。NECは2025年11月に社内利用を開始し、2026年3月下旬からBluStellarを通じて外部提供を始める。価格は1契約当たり月額50万円からで、営業DXを推進したい企業にとって有力な選択肢となり得る。
※AIオーケストレーション技術:複数のAIモデルや情報源を連携させ、目的に応じた最適な処理を自律的に実行する技術。
営業高度化の波及効果と課題 AI活用が競争力の分岐点に
NECの新ソリューションは、提案品質の平準化と業務効率の向上に寄与する可能性が高い。属人化しがちな提案ノウハウをAIが吸収・再構築することで、経験に左右されにくいプロセスが形成され、組織全体のレベルアップにつながるとの見方もある。また、資料準備の工数が削減されれば、営業担当者が顧客との対話や戦略立案に割ける時間が増えることも期待できる。
一方で、AI生成資料の品質をどのように管理するか、学習データの偏りにどう向き合うかといった課題も指摘される。特に、過去データをそのまま用いるだけでは最新の顧客ニーズを十分に捉えられない可能性があり、適切な運用体制が整わなければ提案精度にばらつきが生じるリスクがある。
今後は、法規制対応や複雑な要件整理など、情報量が多く高度な領域での応用が広がっていくとみられる。Agentic AIの普及に伴い、営業DXは単なる効率化から戦略的価値創出へと重心が移りつつあるとの指摘もある。営業提案のスピードと質が企業競争力に影響を与える局面において、本ソリューションがどの程度定着するかが注目される。
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