府中市がデジタル地域通貨「ふちゅPay」を導入　市内経済の循環と商業活性化を後押し

TISインテックグループのフィノバレーとむさし府中商工会議所は、東京都府中市でデジタル地域通貨「ふちゅPay」を12月1日から提供すると発表した。
市内約500店舗で利用可能となり、地域商業の活性化とキャッシュレス基盤の強化を図る取り組みだ。

府中市全域で使えるデジタル通貨を12月1日提供開始

2025年11月26日、フィノバレーとむさし府中商工会議所は、デジタル地域通貨「ふちゅPay」の提供を2025年12月1日に開始すると発表した。
フィノバレーが提供する「MoneyEasy（※）」を基盤に、市内約500店舗で決済に利用できる仕組みを整えた。
利用者はスマートフォンアプリから登録し、セブン銀行ATMやローソン銀行ATMでチャージして支払いに使える。

背景には、都市部で進む大型店の増加やオンライン消費の浸透による地域商業の関係希薄化がある。府中市でも、商店街や個店を中心とした地域経済を次世代につなぐ新たな仕組みが求められていた。
むさし府中商工会議所はこれまでデジタル商品券「ふちゅチケ」を運用し、市内で資金が循環する仕組みを築いてきた。
今回の「ふちゅPay」は、その日常的な活用を可能にする継続型のキャッシュレス基盤として位置付けられる。

サービス開始に合わせて、12月1日から15日まで「ふちゅPayでドドンと30％ポイント還元キャンペーン」を実施する。
加盟店での支払い額に応じて1人あたり3,000ポイントを上限に付与され、市民が気軽にサービスを体験できる機会を提供する。

なお、フィノバレーと商工会議所は、ふちゅPayを基盤とした行政サービスのデジタル化や情報発信の高度化も見据えており、市民と事業者がより使いやすい地域デジタル基盤の構築を目指す方針だ。

※MoneyEasy：フィノバレーが提供するデジタル地域通貨プラットフォーム。自治体や商工団体が地域通貨や商品券をデジタル化するための基盤として活用されている。

地域経済の循環強化へ　市民・事業者・行政の一体運用が鍵に

ふちゅPayの導入は、市民にとって利便性の高い決済手段となるだけでなく、地域事業者のDX推進を後押しする効果が期待できる。
キャッシュレス運用で現金管理の手間が減り、アプリを活用した販促が可能になるため、小規模店舗にとっても業務効率化と売上向上の機会を広げる要素となるだろう。

一方で、地域デジタル通貨の継続利用には、加盟店拡大と利用者の定着が不可欠である。
ポイント還元などの施策は初期の利用促進には有効だが、長期的には地域イベントや行政施策との連携が鍵になると考えられる。
公共サービスのデジタル化がふちゅPayと結びつけば、市民の日常生活に自然に組み込まれる可能性が高まる。

また、行政・商工会議所・事業者が連携して運用することで、地域の購買行動データを活用した分析も可能になるだろう。
これにより地域経済の実態把握が進み、商店街支援策やイベント計画の高度化にもつながるとみられる。
デジタル基盤としての価値を高めることで、持続可能な地域経済モデルを構築できるかが今後の焦点になりそうだ。

TISインテックグループ プレスリリース

関連記事：

石川県、北國銀行のデジタル地域通貨アプリ「トチツーカ」導入　ポイント「いしかわトチポ」が利用可能に

あわせて読みたい

石川県、北國銀行のデジタル地域通貨アプリ「トチツーカ」導入　ポイント「いしかわトチポ」が利用可能に 2025年2月3日、石川県はデジタル地域通貨サービス「トチツーカ」を正式に導入し、県内全域で利用可能なポイント「いしかわトチポ」の発行を開始した。この取り組みは、...