AI活用のアニメ制作会社Creator’s Xが19億円を調達 3スタジオ統合で制作体制を刷新

2025年11月27日、東京発のアニメ制作企業Creator’s XがシリーズAで総額19億円を調達したと発表した。
AI活用を軸に制作工程の効率化と人材強化を進め、グループ内に3つの制作スタジオを統合する新体制を構築する。
19億円調達とBENTEN Film買収で制作基盤を強化
Creator’s XはシリーズAラウンドで総額19億円を確保し、第三者割当増資と金融機関からの借入を組み合わせて成長基盤を整えた。
出資にはグローバル・ブレインや博報堂DYベンチャーズが参加し、みずほ銀行や三菱UFJ銀行などが融資を実行している。
資金はBENTEN FilmのM&A費用やAI技術開発、優秀なクリエイターとエンジニアの採用に充当され、制作と技術の両軸を強化する計画だ。
同社は2025年5月29でBENTEN Film(旧ガイナ)を完全子会社化し、背景美術を手がけるスタジオSAIGA、デザイン会社K&Kデザインとあわせて3スタジオ体制へ移行した。
アニメ『グレンダイザーU』などの制作実績を持つBENTEN Filmは、Creator’s Xのビジョンに共感して参加したという。
社名は創業地・吉祥寺の井の頭弁財天にちなんだ「BENTEN Film」へ変更された。
Creator’s Xはスタジオ間の連携を高めるため、本社を吉祥寺へ移転し管理会計の導入を進めている。
これにより作品単位の収益構造を可視化し、制作現場の業務改善と効率向上が期待される。
クリエイターの待遇改善と納期短縮の両立を目指す同社にとって、AI技術の導入は重要な基盤になる。
AI×制作現場で広がる新モデル 効率化と文化継承の両立が焦点に
今回の調達により、Creator’s XはAI活用による制作モデルの確立を一段と加速させる可能性がある。アニメ制作は工程が多く手作業も多いため、作画補助や背景生成などのAI支援が生産性向上の鍵を握ると考えられる。
一方で、現場の知識や職人的な技法をどう継承するかは依然として重要な課題となるだろう。技術依存が高まれば品質管理に揺らぎが生じる懸念もあるため、どの工程にAIを補助的に活用し、どこを人間の創造性に委ねるかの線引きが問われるはずだ。
AIによる創作には依然として賛否の声が根強いため、議論の的となりそうだ。
出資を行ったVCや銀行は、国内外のアニメ需要の拡大に対し、人手不足をAIが補完する構図を評価している。
日本のアニメ文化をより効率化する取り組みとして、Creator’s Xは注目できそうだ。
作成された作品が創造性をどれだけ担保できているのかが、今後の焦点となるだろう。
AIを軸に据えつつ、クリエイターが創作に没頭できる環境を維持できるかどうかが、同社の成長を左右すると言える。
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