ジャストシステム、ATOKに生成AI MiRA搭載 “わたしらしい”文章作成

2025年11月25日、ジャストシステムは日本の定額制日本語入力サービス「ATOK Passport」に、生成AIを活用した文章作成アシスタント「ATOK MiRA」を搭載すると発表した。
2026年2月2日から提供が始まり、個々の書き手に寄り添う新たな入力体験が広がる見通しだ。
生成AIが“わたしらしい”文章を提案する新アシスタント
ジャストシステムが発表した「ATOK MiRA(My Intelligent Rewrite Assistant)」は、日本語入力システムATOKの日本語処理技術と、利用者ごとに蓄積される入力傾向を組み合わせて文章を提案する生成AIアシスタントである。
入力中に表示されるアシストアイコンから呼び出し、文章の推敲や要約、ビジネス文体への書き換えまで直感的な操作で実行できる点が特徴になる。
「より詳細に」「より柔らかく」といった決まった指示を選択するだけで文章の再構成を行えるため、日々の執筆業務やメール作成のニュアンス調整がより簡便になることが期待される。
ATOK MiRAはまずWindows版ATOKに2026年2月から導入され、macOS、Android、iOSには2026年6月以降に順次拡大される予定だ。
また関連するクラウド機能として、4OSに対応するクラウドサービス「ATOK Sync One」も提供されることが発表された。変換辞書や確定履歴といった入力環境をあらゆるデバイス間で一元化できるようになる。
これにより、端末をまたいだ入力の不一致を気にせず、統一された執筆環境を保持できる点が大きな利点だ。
加えて、ATOKはQualcommのSnapdragon Xシリーズに対応し、Arm版Windows 11へネイティブ対応した。
ARM64(※)アプリでも高速な変換精度を維持できるため、次世代ノートPCの普及を見据えた拡張と位置づけられる。
「ATOK Passport[プレミアム]」は月額660円または年額7,920円で利用できる。
※ARM64:Armアーキテクチャを基盤とした64bit命令セットの総称。Arm版Windowsでネイティブ動作するアプリ形式を指す。
AI搭載ATOKの普及で広がる生産性向上と端末横断利用の波
ATOK MiRAの搭載は、日本語入力にAIを統合する流れを加速させる契機となる可能性がある。
ATOK独自の学習辞書と生成AIを組み合わせることで、“利用者固有の文体”を維持しつつ効率化を図れる点は他サービスとの差別化要因になる。
また、クラウド同期により複数OSを横断する利用が容易になることで、端末依存のストレスが軽減される。
ただし、クラウドサービスの拡張によるセキュリティ負荷や、AI提案精度における個人差といった課題が残る可能性もある。
特に、誤変換や意図しない文体変化が生じた場合に利用者側が修正を強いられる場面も想定されるため、実運用段階でのフィードバックが鍵になると考えられる。
2026年に向け、ATOK MiRAがどこまで入力体験を刷新するのか注目が高まる。
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