NECがAIで駐車業務を効率化 機械式駐車施設で入庫可否の実証開始

日本電気株式会社(NEC)は、機械式駐車施設の入庫可否をAIで自動判断する技術の実証を2026年1月から開始すると発表した。
熟練オペレーターの経験に依存していた判断業務の負担軽減と、サービス業の人手不足解消につなげる取り組みである。
NEC、2026年1月からAI入庫判断の実証を横浜で開始
2025年11月25日、NECは、AI技術を用いて機械式駐車施設の入庫可否を自動判断する実証を、2026年1月から約1か月間実施すると明らかにした。
実証場所は横浜市神奈川区のオフィスビル併設の機械式駐車施設で、AIが車種、車両寸法、付属品の有無などを認識し、入庫の可否を判定できるかを検証する。
機械式駐車施設では従来、オペレーターが目視で車両情報を照合し、入庫判断を行ってきた。
この作業は習得に半年ほどを要する熟練業務であり、判断ミスによる車両損傷リスクや心理的負担が離職の一因になっていた。
教育コストの高さも事業者にとって大きな課題とされる。
NECはこうした背景を踏まえ、AIによって判断を標準化し、属人的な運用を見直す方針を示している。
今回の実証では、車種認識や付属品の検知精度など技術的検証に加え、必要なカメラ台数や設置条件といった事業面の要件も併せて評価する。
またNECは今回のAI技術を、2026年度内の提供開始を目指す無人化ソリューションと組み合わせて展開する構想を示しており、駐車場のDX推進を視野に入れている。
さらに、2025年12月の先行デモンストレーションにおいて、入庫可否自動判断技術の披露を予定している。
AI活用がもたらす効率化と安全性の向上、導入時の課題
AIによる入庫可否判断は、これまで個々のオペレーターの経験に依存していた判断業務を標準化し、安全性と効率性の向上に寄与する可能性がある。
判断ミスの減少は車両損傷リスクの低下につながり、心理的負担の軽減によって離職抑制の効果も見込める。
また、半年程度を要していた技能習得期間が短縮されれば、新人教育の負担も軽減され、駐車現場の人手不足対策として一定の役割を果たしうる。
一方、AIが幅広い車種や付属品、照明条件などに精度高く対応できるかは重要な課題である。
認識精度が十分でなければ誤判定によるトラブル発生の可能性があり、導入効果を損なう恐れがある。運用環境の差異に応じてカメラ配置や設備調整が必要となるため、事業者側の導入負担も無視できない。
それでも、判断業務の自動化が実現すれば、駐車施設の安全運用と省力化が同時に進む可能性が高い。
AIを活用した駐車場運営は、現場の働き方改革やサービス品質向上にもつながると考えられ、今後の検証結果が注目される。
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