楽天市場、AIが隠れた好みに応える新提案機能を本格導入 5億点から最適商品を発掘へ

楽天グループ株式会社が運営する国内ECモール「楽天市場」は、自社開発AIを活用した新機能「ディスカバリーレコメンデーション」の提供をアプリ上で開始した。
5億点超の商品群からユーザーの潜在的興味を分析し、画像や動画などを通じて最適な商品を提案する仕組みだ。
AIが嗜好を解析し未発見商品と出会える新機能を実装
2025年11月20日、楽天市場は、出店する約5万店舗が扱う5億点規模の商品から、AIによりユーザーの興味関心に合致する商品を抽出し、画像や動画とともに提示する新機能を正式導入した。
対象はアプリ版の「探す」タブに設けられた「発見」ページで、スクロール操作のみで個別最適化された商品情報を閲覧できる。
同機能は、ユーザーの購買履歴や閲覧履歴、お気に入り登録状況などを基に、潜在的な嗜好を推定し、店舗側が制作した商品ビジュアルや特集コンテンツなどから適切なものを選び表示する。
従来はユーザーが検索によって商品を探すスタイルが中心だったが、今回の仕組みにより、意識していなかったニーズや新領域の商品とも出会える設計となった。
楽天はAI活用方針として「AI-nization(※)」を掲げており、ビジネス全体でAI導入を加速している。
「楽天市場」では、今後も楽しい購買体験を提供するだけでなく、ユーザーと新たな商品の出会いを創出し、ユーザーと出店店舗の双方にとって満足度の高いサービスの実現を目指す姿勢を示した。
※AI-nization(エーアイナイゼーション):楽天が掲げる造語で、業務やサービスの高度化にAI技術を幅広く活用する方針を示す概念。
購買体験の深化がEC競争力に直結 提案偏りや適正管理が課題
今回のAI提案機能は、ユーザーが予期せぬ商品と接触する確率を高め、満足度向上に寄与する可能性がある。特に動画や画像を活用した視覚訴求は、直感的理解と購買意欲の喚起につながりやすく、SNS世代のユーザー層を取り込む効果が期待される。
一方、潜在ニーズの可視化が進むことで、検索依存型ECとの差別化も強まるだろう。
店舗側にとっては、検索では届かなかった潜在層への訴求機会が生まれ、販促効率の向上が見込める。ただし、AIによる推薦が過度に最適化された場合、提案の偏りや品質のばらつきが課題となる懸念もある。
また、データ活用に伴うプライバシー対応や、表示コンテンツの適正管理など運用面での責任も増大していくと考えられる。
今後、楽天市場がAIとユーザー体験をどこまで融合できるかが、EC市場での競争力を左右すると言える。機能改善と同時に透明性と信頼性を維持できるかが鍵となるだろう。
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