マクニカ、AIカメラでガス・重油メーターを自動読取 工場の省人化とエネルギー管理を一体で最適化へ

2025年11月13日、神奈川県のマクニカは、ガス・重油メーターの数値をAIで自動読み取りし、同社のエネルギー管理基盤「Kisense(キセンス)」と連携する「AIカメラシステム」の販売開始を発表した。
工場や製造現場の検針業務を省力化し、エネルギー利用の可視化と解析を一体で提供する。
AIカメラで既存メーターを自動読取し検針を省力化
マクニカは、工場や製造現場で使用されるガス・重油メーターをAIが自動で読み取り、クラウドに連携する「AIカメラシステム」を発表した。
本製品は既存メーターにAIカメラを設置するだけで導入でき、従来必要だった大規模な流量計工事を避けられる特徴がある。
取得データは同社のエネルギー管理システム「Kisense(※)」に自動連携され、使用量の可視化から解析まで一元的に利用できる。
背景には、工場の人手不足が深刻化し、手作業で行う検針の効率化ニーズが高まっている点がある。
特にガス・重油メーターの導入は工事負担が大きく、計測インフラの刷新が難しい現場も少なくなかった。
AIカメラを活用した読み取り方式は、既存設備をそのまま使えるため、導入ハードルを下げる手法として注目されてきた。
今回のシステムは回転式メーターに対応しており、今後は7セグメント表示のメーターにも展開する計画だ。
異常値の自動検知、アラート通知、レポート自動作成にも対応し、現場の管理レベル向上を支援する仕組みを備えている。
※Kisense(キセンス):マクニカが提供するエネルギー管理システム。設備データを収集し、使用量の可視化や分析を行うプラットフォーム。
省人化と脱炭素対応の両面で広がる活用余地
AIカメラを基盤にした検針自動化は、省人化と省エネの双方に効果が見込める。
まず、従来の巡回型検針を置き換えることで作業負担を抑えられ、管理者の業務効率が向上する。
加えて、Kisenseと連携して解析が自動化されることで、エネルギー使用の「ムダ」を把握しやすくなり、コスト削減策を立てやすくなる利点がある。
一方で、AIカメラの精度維持や撮影環境の最適化といった運用面の課題も残る。
油汚れや結露が発生しやすい現場では、カメラレンズの状態確認や撮影角度の調整など、人手によるメンテナンスが必要となる場合もあるだろう。
また、クラウド連携によるデータ管理では、漏えい防止やアクセス制御など、セキュリティ要件の高度化も求められるとみられる。
とはいえ、設備改修を伴わずにエネルギー管理をアップデートできるソリューションは希少であり、脱炭素や省エネの取り組みを進めたい企業にとって導入メリットは大きいと考えられる。
マクニカが対応メーターの拡大やCO2算定機能を見据えることで、今後はエネルギーマネジメント全体を統合する基盤へ発展する可能性が高い。
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