NTTドコモビジネス、「AI Soft Sensor」を提供開始 現場主導でAI活用を支援

2025年11月12日、NTTドコモビジネス株式会社は、化学・水処理プラント向けにAIで品質予測を可能にする「AI Soft Sensor」導入支援パッケージの提供を開始した。現場担当者自身がAIモデルを開発できる国内向けソリューションである。
現場担当者が自社でAIモデル開発可能に
NTTドコモビジネスは、リアルタイム品質予測が可能なAIソフトセンサー「AI Soft Sensor」の導入を支援する新パッケージを提供する。化学・水処理プラントの運転状態や製品品質のリアルタイム把握、将来予測による運転品質向上を目指す現場担当者を主な対象としている。
パッケージは教育プログラムと導入支援ツールの2本柱から構成される。
教育プログラムでは、ノーコードAI開発ツール「Node-AI」を活用し、基礎講座と実践講座を通じてモデル開発手法を習得できる。
一方、導入支援ツールは環境変化に対応したモデル設定や自動再学習のシミュレーション機能を備え、現場でのスムーズな運用を支援する。
従来、プラントでは物理センサーの設置が難しい場合、サンプル分析に頼ることが多く、リアルタイム性の欠如や危険な作業が課題となっていた。
AI Soft Sensorは圧力や温度などのデータを基に直接測定できない状態や品質を推定し、自動再学習で精度を維持できる。
2025年11月19日から東京ビッグサイトで開催される「IIFES 2025」では、本パッケージの体験や事例紹介が行われる予定である。
将来的には、プラント自動運転支援「AI Autopilot System」向けパッケージなど、現場主導型のDX促進ソリューション展開も視野に入れているという。
現場主導型AI活用の波及効果とリスクを考察
現場担当者が自らAIモデルを開発できる環境は、プラント運営の改善を迅速に反映できる強みを持つ。
たとえば、運転状態や製品品質をリアルタイムで把握できれば、異常対応や生産効率の向上につながると考えられる。また、DX人材の育成やAI活用スキルの社内蓄積にも寄与するため、長期的な競争力向上も期待できる。
一方で、現場主導でAIモデルを運用する場合、誤った学習や運用ミスにより予測精度が低下するリスクがある。特に安全性に直結する工程では、モデルの適用範囲や再学習条件を慎重に管理することが求められそうだ。
さらに、導入支援パッケージを活用することで導入コストや期間は削減できるが、現場への負担が増えることもあり得る。現場担当者のスキル差によってモデル精度に差が生じるため、サポート体制や技術共有の仕組みが重要となるだろう。
総じて、現場主導型AI活用は即効性と効率性に優れるが、精度管理や教育体制の整備が不可欠と言える。適切な運用体制を構築すれば、プラント運営の高度化と安全性向上に大きく寄与する可能性がある。
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