OpenAIがGPT-5.1を公開 「より温かく自然な口調」を目指す

2025年11月12日、米OpenAIは対話AI「ChatGPT」において、新モデル「GPT-5.1」シリーズを発表した。
InstantとThinkingの両モデルを同時刷新し、会話の自然さや推論精度を大幅に改善したと同社は説明している。
GPT-5.1がInstantとThinkingを全面刷新
OpenAIはGPT-5世代を拡張する形で「GPT-5.1 Instant」と「GPT-5.1 Thinking」を公開した。
Instantは「より温かく自然な口調」を特徴とし、指示の遵守能力が向上した。
その結果、数学コンテストのAIME 2025や、競技プログラミングのCodeforcesのような高度なタスクにおいて精度が向上したという。
遵守能力のデモでは、「6語で回答せよ」との制約を課したうえで、「今夏はどこに旅行すべき?」との質問が重ねられた。
結果、GPT-5では6語ではなく文章で返答したが、GPT-5.1 Instantは「Consider Japan, Italy, Greece, Canada, Iceland.」のように正確な6語で回答している。
ストレス相談のデモでも違いが現れた。
GPT-5は一般的な助言を返すのに対し、GPT-5.1 Instantは「I’ve got you, Ron—」とユーザー名を呼びかけ、状況別の呼吸法や音楽による気分調整など具体的な手順を示すなど、より「対話者の心に寄り添う応答」へと進化した。
GPT-5.1 Thinkingは「適応型思考」の調整が強化され、タスクの複雑さに応じて推論量を自動配分する精度が高まった。
OpenAIは内部評価として「易しいタスクでは推論時間が最大57%短縮し、難しいタスクでは最大71%増加した」と説明している。
モデル刷新と並行して、UIとしての“トーン設定”も強化され、「プロフェッショナル」「クワーキー」「キャンディッド」などの新スタイルが追加された。
応答の温度感や絵文字頻度まで調整可能な実験的設定も加わり、自分に適した話し方へ細かく最適化できるようになった。
会話体験の向上と業務活用拡大の一方で課題も
GPT-5.1のInstantは、顧客サポート、教育、ウェルビーイング領域など「対話の質」が価値に直結する分野で大きな利点となるだろう。
ユーザーの心情に合わせたトーン生成は、単なる応答以上に「会話体験の向上」をもたらし、AIとの心理的距離を縮めると考えられる。
一方で、表現設定の誤りによる意図せぬ文体のばらつきや、「温かい口調」であるがゆえのユーザーの心的依存はリスクとして残りそうだ。
またThinkingの「適応型思考」では思考の深さが自動化されるため、生成プロセスの透明性をどう確保していくかも論点になるだろう。
OpenAIは安全性資料を併せて公開し、透明性向上を進める姿勢を示している。
企業向けAI市場での競争が一段と強まりそうだ。
関連記事:
OpenAI、GPT-4o即時停止を撤回 GPT-5は温かみある性格に改善へ












