三菱UFJ、OpenAIと提携 全行員へのAI活用本格化へ

2025年11月12日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、米OpenAIとの戦略的提携契約を締結したと発表した。国内でのリテール向けAI活用や業務改革を目指し、全行員へのChatGPT Enterprise導入を段階的に進める計画である。
ChatGPT Enterpriseを全行員に展開 AI活用の本格運用へ
MUFGとOpenAIは戦略的提携契約を締結し、2026年1月以降は三菱UFJ銀行の全行員約35,000人がChatGPT Enterpriseを業務で利用できるようになる見通しだ。
対象業務は社内文書作成や調査対応、顧客対応、分析業務など多岐にわたる。
社内AI浸透を加速させるため、「Hello, AI @MUFG」プロジェクトを通じて教育・研修やサポート提供を行い、AI活用の専門人材「AIチャンピオン」の育成を両社で推進する。
また、四半期ごとの戦略的ビジネスレビューを設け、AI戦略やプロダクト導入、顧客向けサービスの改善を定期的に評価する仕組みも構築される。
リテール分野では、サービスブランド「エムット」を中心に個別化された顧客体験を提供する施策を検討している。
AIコンシェルジュや申込専用AIチャット「エムットクイックスタート」、Apps in ChatGPTとの連携、Agentic Commerce対応など、ユーザーの利便性向上を目指すという。
MUFGとOpenAIは、金融サービスのイノベーションと社会的貢献を両立させることを掲げ、「AI-Nativeな企業」への変革を着実に進め、グループ全体のデジタル基盤強化を目指すと説明している。
AI全行導入の波及効果と課題 業務効率化とリスク管理の両立
全行員へのAI導入は、業務効率化や意思決定の高度化に直結し得る。
特にルーチン業務の自動化により、行員は付加価値の高い企画や顧客対応に注力できると考えられるため、サービス品質向上が期待される。
また、リテール向けのパーソナライズ施策は、利用者の金融行動を最適化する新たな体験を提供し、顧客満足度向上にも寄与する可能性がある。
一方で、全社的AI活用はセキュリティやデータプライバシーのリスクも伴う。顧客情報の適切な管理や、AIによる誤情報提供への対策が不可欠であろう。
また、AIに過度に依存することで行員の判断力や専門性の低下につながる懸念もある。
さらに、AIの導入速度や適応度に差が生じると、部門間での活用格差が拡大する可能性もある。教育・研修プログラムの整備が成功の分岐点となりそうだ。
総じて、MUFGの取り組みは金融業界におけるAI活用の先行例となりうる。
業務効率化と顧客体験向上を両立させつつ、リスク管理と人材育成をバランス良く進めることが、持続的な競争優位の確保につながるだろう。
株式会社三菱UFJ フィナンシャル・グループ AI を活用した業務改革およびリテール領域の新サービス創出に向けた取り組みについて
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