Hacobu、業界初の「物流法AI先生」を発表 生成AIで企業の法令対応を支援

2025年10月31日、株式会社Hacobu(東京都港区)は、物流×AIの実験場「MOVO AI Lab」において、物流関連法規に関する質問にチャット形式で回答するツールとして、業界初となる生成AI法令支援サービス「物流法AI先生」の提供を開始したと発表した。
物流業界で求められる法改正対応の迅速化と現場業務の効率化を目指す。
生成AIが法令対応を支援 Hacobuが新サービス提供開始
Hacobuは、物流業界向けの新サービス「物流法AI先生」をリリースした。
本サービスは、物流効率化法、貨物自動車運送事業法、取引適正化推進法(下請法)など、物流関連法令に関する質問に生成AIがチャット形式で回答するものである。
近年、物流現場では労働時間規制の強化や安全管理体制の高度化、下請取引の透明化など、法令対応の重要性が一層高まっている。
これに対し、担当者が法令の解釈や対応策を逐一調査する負担が増加しており、Hacobuはこの課題をAIによって解決する狙いを示した。
「物流法AI先生」は、国土交通省・経済産業省・厚生労働省などの公的情報に加え、Hacobuが独自に蓄積してきた物流法務ナレッジをAIの参照データとして利用することで、より信頼性の高い回答を実現する。
自然言語による質問に対応し、関連法令や条文、ガイドラインを自動抽出するほか、参照元リンクも提示する仕組みを備える。
また、企業ごとにデータを分離管理し、生成AIの学習には利用されない設計とした。
Hacobuはこれまで、オウンドメディア「ハコブログ」やセミナーを通じて法改正情報を発信してきたが、今回の新サービスで現場主導の法令対応支援を強化する。
「物流法AI先生」は、同社の物流DX基盤「MOVO(ムーボ)」シリーズの一環として提供される。
なお、Hacobuはトラック予約受付や動態管理、AI発注最適化などのクラウドサービスを展開している。
AIがもたらす法対応の民主化と課題
「物流法AI先生」は、法改正が相次ぐ物流業界において、生成AIを活用して現場の法令対応を支援する画期的な試みである。
最大の利点は、専門知識を持たない担当者でも条文検索や解釈を即座に行える点で、従来の属人的な対応から脱却できることである。
企業内の情報格差を埋め、法令順守と業務効率の両立を促す仕組みとして有効に機能する可能性が高い。
一方で、AIの回答が必ずしも正確とは限らず、誤った法解釈が現場判断に影響するリスクも存在する。
AIと専門家の役割を明確に分担し、確認プロセスを整備することが欠かせない。
今後は、契約・労務・安全管理など、法務領域全般への応用も想定される。
特に人材不足が深刻な中小物流事業者にとっては、実務を支えるインフラ的存在になり得る。
AIによる「法対応の民主化」が進めば、物流現場の意思決定はより迅速かつ透明性の高いものになると考えられる。
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