千代田区、全小中学校に教育生成AI「AI+Me」導入 学びの質向上狙う

2025年10月28日、アルサーガパートナーズ株式会社は、東京都千代田区立の全小中学校に教育生成AIサービス「AI+Me(アイミー)」を2025年秋より順次導入開始したと発表した。教員と児童生徒全員が対象で、授業や学習活動への活用が期待される。
千代田区、教育現場でAI活用を全校展開
AI+Meは学校専用に設計された生成AIサービスで、直感的な操作性と安全性を特徴とする。登録教材から問題や解説を自動生成するほか、複数の大規模言語モデル(LLM・※)を比較しながらAIの特性を学べる機能や、AIが議論のファシリテーターを担うディスカッション機能も備える。
千代田区はこれまで、生成AIの教育活用の基盤整備を進めてきた。2024年には九段中等教育学校向けに、アルサーガパートナーズと共同で生成AIツール「otomotto」を開発し、教員や生徒による実証を行った。今回のAI+Me全校展開は、その成果を踏まえた発展的施策である。
導入スケジュールは、2025年9月から教員が先行利用を開始し、10月に中学校生徒が利用開始。小学校では高学年から段階的に導入され、2026年4月には全小学校の5・6年生が利用可能となる見通しだ。区教育委員会は、児童が自ら課題を設定し、AIを活用して情報を収集・整理・発信する学習活動の促進に期待を寄せている。
※大規模言語モデル(LLM):膨大な文章データから言語パターンを学習し、人間のような文章生成や質問応答を可能にするAIモデル。
生成AI教育の普及がもたらす学びの深化と課題
AI+Meの活用により、知識習得だけでなく、創造的思考力や問題解決力、協働学習の深化につながる可能性がある。児童がAIと共生しながら学ぶことで、デジタルリテラシーの向上や自律的な学びの習慣形成が期待される。
一方で、リスクも存在する。AIの出力内容の正確性や偏り、過度な依存による思考力低下は教育現場で慎重に管理すべき課題である。千代田区は生成AI活用ガイドラインを策定し、利用の安全性や効果の向上に向けた体制を整備している。今後も実証結果を踏まえた改善が求められるだろう。
将来的には、生成AIを単なる学習補助ではなく、児童の思考を拡張するパートナーとして活用する教育の実現も視野に入る。
AI利活用の効果と課題を検証しながら、体系的なカリキュラムへの統合や他区への展開の可能性もある。
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