イーロン・マスク氏のxAI、「Grokipedia」公開 AIファクトチェック導入

2025年10月28日、米イーロン・マスク氏率いるxAIが、オンライン百科事典「Grokipedia(グロキペディア)」の初期ベータ版を公開した。AIによるファクトチェック機能を備え、既存のWikipediaに代わる信頼性重視の知識基盤を目指す。
AIが自動検証する百科事典「Grokipedia」登場
xAIが新たに発表した「Grokipedia」は、同社の生成AI「Grok」を活用し、記事内容のファクトチェック(※)を自動で行う点が最大の特徴である。各ページ上部には、最終チェック時刻が明示され、情報の鮮度を可視化する仕組みも導入されている。
同日時点で88万件以上の記事が登録されているが、現段階では日本語には未対応である。
マスク氏は自身のSNS「X(旧Twitter)」で、「Grokipedia.comのバージョン0.1を公開した。バージョン1.0は10倍良くなるが、0.1でもWikipediaより良いと思う」と投稿。従来のWikipediaに対する挑戦的な姿勢を示した。
同氏は9月30日にも「Wikipediaは絶望的なまでに偏っている」とする投資家David Sacks氏の投稿に、返信する形で意見に同調していた。その際に「xAIでGrokipediaを構築中だ」と予告しており、今回の公開はその延長線上にある。
※ファクトチェック:報道や記事内容などの事実関係を検証し、誤情報や誇張を排除する作業。ジャーナリズムや学術分野で信頼性確保の手段として重視されている。
偏向批判に応える新知識基盤 透明性と信頼性の競争が加速
Grokipediaの登場は、AI技術による知識の再定義を促す動きといえる。
従来のWikipediaはオープン編集を強みとする一方で、編集者の政治的・文化的偏向が指摘されてきた。
こうした問題に対し、GrokipediaはAIが情報を継続的に分析・更新することで、鮮度と正確性の向上を狙っていると考えられる。
一方で、AIが自動的に真偽を判断する仕組みには、情報源の選定やアルゴリズムのバイアスという新たな課題も発生する可能性が高い。AIによる検証自体が中立性を保証するとは限らないため、情報の扱いには継続的な慎重さが必要だろう。
それでも、情報信頼性をめぐる競争が強まるなか、GrokipediaはWikipedia依存からの脱却を望む層にとって新たな選択肢となりそうだ。
AI時代の知識共有モデルとして、両者の比較と共存の行方が注目される。
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