リコー、金融特化LLMと稟議書作成アプリ開発 オンプレミスで10月末提供

2025年10月2日、株式会社リコーは金融業務に特化した大規模言語モデル(LLM)の開発を発表した。オンプレミス環境で稼働可能な独自モデルを基盤に、融資稟議書のドラフトを自動生成するアプリも提供する。10月末から個別提供を開始する予定で、FIT2025で参考出展する。
リコー、金融特化LLMと稟議書自動生成アプリを展開
リコーは700億パラメータ規模の独自LLMに金融業務の専門知識や用語を学習させた「金融業務特化型LLM」を開発した。オンプレミス環境(※1)に対応し、セキュアな利用を重視した設計が特徴である。
併せて、融資稟議書のドラフトを自動生成するアプリケーションをDify(※2)を活用して構築。2025年10月末から金融機関向けに個別提供を開始する予定だ。
さらに今冬からは、リコージャパンが提供する「RICOH オンプレLLMスターターキット」に同機能を組み込み、金融業界全体に向けて包括的なAIパッケージとして展開する。
リコーは2025年10月9日、10日に開催される「金融国際情報技術展 2025(FIT2025)」において、このソリューションを参考出展する。
※1 オンプレミス環境:自社のサーバーやネットワーク機器を設置・運用する形態。クラウドに比べ高いセキュリティとカスタマイズ性を持ち、金融や官公庁など機密性が重視される分野で利用される。
※2 Dify:米LangGenius社が開発したオープンソースのLLMアプリ開発基盤。ノーコードでアプリを構築できる。
金融現場の暗黙知をAIが形式知化 効率化と今後の展望
同社によると、金融業界では近年、生成AIによる効率化が期待されつつも、専門性やセキュリティの面で導入が難しいとされてきた。
リコーの金融業務特化型LLMは、こうした課題を踏まえて開発されたものであり、複雑な金融商品に関する知識や業界特有の言い回しを学習済みである。これにより、融資稟議書や各種報告資料の作成を短時間で実施でき、過去案件の検索や参照も容易になると見込まれる。
一方で、導入には注意点もありそうだ。
AIによる過度な自動化はリスクを伴う可能性がある。また、オンプレミス対応という強みは高いセキュリティを実現するが、初期投資や運用負担が増える側面も否めない。
それでも、専門知識の形式知化による組織全体の業務品質向上や、削減した時間を顧客対応や営業活動に充てられるメリットは大きいだろう。
今後は金融業界に限らず、他業種への展開や標準化の波及が注目されそうだ。
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