Microsoft、「Visual Studio Code」7月更新でGPT-5対応 AI統計や生産性向上機能も追加

2025年8月8日、米Microsoftはコードエディター「Visual Studio Code」の2025年7月アップデートを正式公開した。
OpenAIの最新モデル「GPT-5」対応やAI統計機能など、生産性とAI活用を強化する複数の改善が盛り込まれている。
VS Code、GPT-5対応とAI統計機能を導入
Microsoftは8月8日、無料コードエディター「Visual Studio Code」の最新版v1.103.0をリリースした。
最大の注目点は、OpenAIの最新大規模言語モデル「GPT-5」が利用可能になったことだ。すべての有料「GitHub Copilot」プランで展開され、推論精度やコーディング支援、自然言語でのチャット性能が大幅に向上したという。
本アップデートでは、ツールピッカーの刷新や実験的なツール呼び出しモードの導入も行われた。
特に、1つのチャットリクエストで128を超えるツールを利用できる仕組みは、複雑な作業環境での効率化が期待される。
また、チャットセッションの「チェックポイント」機能により、複数ファイルを扱う作業の中断・再開が容易になった。
生産性面では、Gitワークツリー対応により1つのリポジトリで複数ブランチを同時に操作可能になった。
さらに、AIとのコーディング履歴を専用ビューで管理できる実験機能も追加されている。
開発環境は「TypeScript 5.9」や「Electron 37」に更新され、ターミナルでは音声入力(ディクテーション)が可能になった。
新機能の一つ「AI統計」では、AIが挿入したコードの割合をプロジェクト単位で可視化できる。現在はプレビュー提供で、開発チームのAI利用状況の把握や品質管理に役立つと考えられる。
GPT-5搭載で開発効率と品質向上の両立へ
今回のアップデートは、AIによるコード生成と開発プロセスの効率化を同時に進める方向性を明確に示している。
特に「GPT-5」の採用は、コード提案の精度向上や複雑な仕様理解の改善に直結し、大規模プロジェクトや高度なアルゴリズム実装において有効性を発揮する可能性が高い。
また、AI統計や履歴管理といった可視化機能は、企業やチームがAI依存度を把握し、ガバナンスやセキュリティポリシーと連動させる上で重要な指標となる。
これにより、開発効率向上と品質維持のバランスを取りやすくなるだろう。
一方で、AI生成コードの品質や著作権、セキュリティリスクといった課題は依然として存在する。
特に外部モデル依存度が高まることで、モデル提供側の変更や利用規約更新がプロジェクト運営に直接影響を与える可能性もある。
今後は、VS CodeのGPT-5対応が他のIDEやクラウド開発環境に波及し、AIアシストを前提とした新たな開発スタイルが主流化することが予想される。
その過程で、開発者はAI活用スキルだけでなく、AIと人間の役割分担を再定義する必要に迫られるといえる。