並列思考技術搭載のAI「Deep Think」 グーグルがGoogle AI Ultraで提供開始

2025年8月1日、米グーグルは最高性能を誇るAIモデル「Deep Think」を、有料プラン「Google AI Ultra」ユーザー向けに一般提供開始した。
IMOメダル級の知能を備えた本モデルは、日本では月額3万6400円で利用可能となる。
グーグル、超高性能AI「Deep Think」を有料公開
グーグルは8月1日、同社が開発した「Deep Think」の提供を、サブスクリプション型の「Google AI Ultra」プランにて開始した。
このモデルは、国際数学オリンピック(IMO)で金メダル級の成績を収めたバリエーションの1つである。
料金は米国で月額249.99ドル、日本では月額3万6400円に設定されているが、初回3カ月は半額以下の1万8000円で利用可能だ。
Deep Thinkは特に数学的・科学的課題、反復的な設計、コーディング、新たな発見などにおいて卓越した性能を発揮するという。
その根幹にあるのが、複数の仮説を並列で展開・検討する「並列思考技術(※)」であり、これにより複雑な問題にも多角的にアプローチできる。
また、推論時間を意図的に長く取ることで、より深い思考が可能な設計となっている。
さらに、マルチモーダルな知識評価テスト「Humanity’s Last Exam(HLE)」においても、100以上の科目にわたる高得点を記録。
このテストは、論理・視覚・音声・数理など100科目以上を横断するもので、多分野における専門知識が期待される。
従来モデル「Gemini 2.5 Pro」と比較しても、安全性とトーンの客観性で優れていることも示されている。
また、「Gemini API」を通じた信頼性テスト提供が数週間以内に予定されており、より広範な応用に向けた布石が進んでいる。応用範囲は飛躍的に拡大する見通しだ。
※並列思考技術:
同時に複数の仮説や視点を展開し、それらを評価・統合するAIの推論手法。単一の解法ではなく、思考の多様性と深さを担保する。
専門思考支援で注目集める一方、価格や制限に課題も
Deep Thinkは、数理モデル設計や科学的仮説の検証、あるいは高度なアルゴリズム設計といった専門的な場面で、既存AIに比べ明確な優位性を示している。
企業の研究開発部門や高度技術者にとっては、有料でも試す価値のあるツールとなるだろう。
一方で、利用に制約があることには注意が必要そうだ。
Google AI Ultraの契約者であっても、1日に利用できるプロンプト数に上限がある。
さらに、Geminiアプリ上で「2.5 Pro」モデルを選び、「Deep Think」トグルを有効にするという手順を踏む必要がある。
ユーザビリティや価格の高さが、導入の障壁になりうる点は否めないだろう。
総じて、Deep Thinkは、知的生産性の未来像を示す一方で、その恩恵を享受できる層をどう拡大するかという課題も併せ持つと言える。
費用対効果、アクセス性、安全性などのバランスを今後どこまで最適化できるかが、普及の鍵を握るだろう。