内閣府がAI政策推進室を新設　戦略本部の9月発足に向け司令塔機能強化へ

2025年8月1日、内閣府は人工知能（AI）政策の司令塔機能を担う「人工知能政策推進室」を新たに設置した。
9月に予定される「人工知能戦略本部」の発足準備を本格化させる。

内閣府がAI専門部署を新設　戦略本部立ち上げに備え政策推進体制を整備

内閣府は2025年8月1日付で、AIに特化した新組織「人工知能政策推進室」を設置した。
発表したのは同日の記者会見に臨んだ城内実・科学技術担当相であり、初動の体制として職員約20人を配置したと明かした。

この推進室は、9月に正式発足予定の「人工知能戦略本部」の設置に向け、人工知能（AI）を専門的に担う。
具体的には、AI政策にかかわる行政各部の施策の統一を目的とし、そのための企画や立案、調整にかかわる事務を担当する。

背景には、生成AIなどの技術革新の加速により、国内外でAI政策の整備が急務となっている実情がある。
米国や欧州でもAI規制や活用方針の議論が進む中、日本も迅速な体制構築を図る姿勢を明確にしたかたちだ。

司令塔の設置で政策の一元化狙うも、実効性や人材確保に課題

人工知能政策推進室の設置は、分野横断的にAI施策を統合する司令塔機能を担う点で評価される。
とくに各省庁に分散していたAI関連施策を整理し、国家戦略として一貫性ある方針策定が可能になると期待される。

メリットとしては、政府内での意思決定の迅速化や、民間との連携体制の強化が挙げられる。
生成AIやロボティクスといった革新的技術の導入にあたり、共通の倫理指針や安全基準の策定が進めば、企業の研究開発にも明確な道筋が立つ。

一方で、課題も少なくない。AI分野の政策には専門性が求められるが、官公庁内の人材リソースだけでは十分とは言い難い。
専門家の確保や外部有識者との協働体制の構築が成否を分ける鍵となるだろう。

今後は戦略本部の具体的な権限や実行力、予算措置などが問われることになる。政策推進室の発足はあくまで第一歩に過ぎず、その実効性は今後の動きにかかっている。