オープンAI、欧州初のデータセンターをノルウェーに設置へ 現地再エネ活用で1,000億円規模投資

2025年7月31日、米オープンAIは、ノルウェーの企業Nスケール・グローバル・ホールディングおよび投資会社アーカーと連携し、同国に約10億ドル(約1,000億円)を投じて欧州初のデータセンターを建設すると発表した。
現地再生可能エネルギーを活用した持続可能なAIインフラとして注目される。
オープンAI、再エネ活用の欧州データ拠点をノルウェーに新設
対話型生成AI「ChatGPT」を展開する米オープンAIが、欧州初となるデータセンターをノルウェーに設置する方針を明らかにした。
現地企業Nスケール・グローバル・ホールディングと、ノルウェーの投資大手アーカーとの合弁プロジェクト「スターゲート・ノルウェー」の一環として、約10億ドルを投資する。
建設予定地はノルウェー北部ナルビク近郊。米NVIDIA製のAIプロセッサー10万基を導入し、将来的には10倍規模に拡大することを見込んでいる。
また消費電力は約20メガワットで、すべて水力発電由来の再生可能エネルギーでまかなう計画だ。
オープンAIのサム・アルトマンCEOは、「このようなインフラは本当に重要で、ノルウェーと欧州の開発企業、研究者、科学者、スタートアップ企業の多大な可能性を解き放つことになる」と語り、インフラ整備の意義を強調した。
この発表を受けて、アーカーの株価は一時11%上昇し、約2年ぶりの高値を記録している。
欧州AI市場の起爆剤に 再エネ活用の戦略と投資判断
今回のプロジェクトは、AI関連インフラの地政学的分散とエネルギー政策の転換を象徴する取り組みといえる。
欧州ではAI需要が急拡大する一方で、データセンターのエネルギー消費への懸念も高まっているため、再生可能エネルギーを前提とする設計は重要なメッセージ性を持つと考えられる。
とくにノルウェーは、豊富な水力資源を背景に再エネ比率が極めて高いため、持続可能なAI運用の実験場として注目を集めるだろう。
加えて、欧州域内でのデータ主権を確保するという観点からも、域外大手AI企業による現地拠点の設置は、歓迎されやすい側面があると思われる。
ただし、初期投資額の大きさやインフラ拡張に伴うコスト、またAIプロセッサーの需給逼迫リスクなど、短期的な課題も無視できない。
現時点では「スターゲート・ノルウェー」がどの程度、欧州のAIエコシステムに影響を及ぼすかは未知数だが、持続可能性と技術拡張の両立という点で、戦略的な一手として高い注目を集めている。