山形大学、AI解析で「ナスカの地上絵」248点発見 万博ペルー館で初公開

2025年7月28日、山形大学とペルー政府は大阪・関西万博のペルーパビリオンで共同会見を開き、AIによる画像解析で新たに発見された「ナスカの地上絵」を世界で初めて一般公開した。
2000年前の文化遺産が、先端技術によって再び注目を集めている。
山形大学とIBM、AI解析で地上絵248点を新発見
南米ペルーの世界遺産「ナスカの地上絵」は、これまでに893点が確認されてきたが、2023年から2024年にかけて、山形大学とIBMが共同で行ったAI解析により、さらに248点の新たな地上絵が発見された。
この調査は、航空写真などをAIで解析する手法で実施され、1000点以上の候補から地上絵の可能性があるものを絞り込み、現地調査によって実在を確認したものだ。
新たに確認された絵のモチーフには、人間が41点、リャマ(南米の家畜)が21点などが含まれ、神聖視されていたとされるコンドルの絵も含まれている。
山形大学によれば、これらの地上絵は祭祀や信仰、社会的メッセージの伝達といった機能を担っていた可能性があるとしている。
万博のペルーパビリオンでは、7月28日より「ナスカ文化展」として新発見された地上絵の写真が展示され、来場者がその精巧さと神秘性に触れることができる。
AIが拓く考古学の未来 学術と観光に広がる可能性
AI技術の進化により、これまで発見が困難だった地上絵の検出が大幅に効率化された。
従来の人力による調査では見落とされがちだった微細な線や風化した痕跡も、画像解析によって高精度に抽出されるようになったことは、考古学界にとって画期的な成果といえる。
研究チームは、AIが検出した地上絵の候補を基に現地での精査を行い、実在を確認するという「人とAIの協業」によって成果を最大化している。
このアプローチは今後、ナスカ以外の文化遺産調査や、砂漠や密林に埋もれた未発見遺跡の探索にも応用可能だと考えられる。
一方で、文化財保護の観点からは、観光開発による破壊リスクや保存技術の強化といった課題もあると考えられ、ペルー政府と研究機関による慎重な運用が求められるだろう。
ナスカ地上絵の新発見は、単なる学術的成果にとどまらず、万博を通じて文化観光や国際協力の新たな道を切り拓く契機ともなり得る。
テクノロジーと人類の過去が交差する今回の展示は、訪問者にとっても貴重な体験となるだろう。
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