中国企業、生成AIを導入も成果は限定的 業務効率や売上向上は9%にとどまる

2025年7月24日、米コンサルティング大手アクセンチュアは、中国企業のDXに関する調査結果を発表した。
生成AIの導入が進む一方で、生産性や収益に具体的な成果を上げている企業は全体の9%にとどまっており、活用の実効性に課題が浮上しているようだ。
生成AI導入が加速するも、業務成果につながらず
中国企業においても生成AIの業務活用が拡大しているが、その効果には疑問符がついている。
アクセンチュアが2025年2〜3月に実施した調査によると、製造、自動車、小売など7業種の中国企業163社のうち、生成AIを業務プロセスの大部分に活用している企業は46%に上った。
しかし、生産効率を10%以上向上させた、あるいは売上や利益を5%以上押し上げたとする企業は、わずか9%にとどまった。
業務領域別にみると、カスタマーサービスや顧客対応を超え、研究開発や設計、製造などの高度な分野にまで適用範囲が広がっている。企業の多くは生成AIを単なる業務支援ツールと見なしており、戦略的な活用には至っていない現状が浮かび上がった。
また、従業員に生成AIツールを提供している企業は61%と多いが、「生成AIが従業員や作業方法に及ぼす影響を十分に理解している」と答えた企業は48%にとどまり、実態とのギャップが浮き彫りになった。
また、技術職と非技術職に応じたAI学習プログラムを整備している企業も47%と過半数に達していない。
生成AIを現場に導入する意欲は高いものの、成果を出すためのマネジメント体制や人材育成が追いついていない状況だ。
成果を出すには組織改革が不可欠か、中国企業の次なる課題
今回の調査から、生成AIの効果を最大化するには、単なるツール提供にとどまらない全社的な変革が必要であることが窺える。
成果を上げた企業が全体の1割に満たないという調査結果は、導入のスピードと成果創出との間に乖離があることを示している。
その背景には、AIを支えるマネジメント体制の不備や人材育成の遅れがあると考えられる。生成AIを「業務の部分最適ツール」として位置づけている企業が多いことも、AIが全社戦略に昇華されていない原因になっているのだろう。
生成AIを業務改革の軸として位置づけられれば、イノベーションや競争力強化につながる可能性は大きい。特に、業務の高度化が進む中国市場においては、生成AIの応用可能性は極めて広いと考えられる。
生成AIが企業成長の推進力となるかどうかは、技術への過度な期待を脱し、組織と経営の改革をどれだけ伴走させられるかにかかっていると言える。