デル、AIコード支援ツール提供 オンプレミス対応で効率化と安全性を両立

2025年7月24日、デル・テクノロジーズがエンタープライズ向けのAIコード支援ツール「Dell AI Code Assistant」の国内提供を開始した。オンプレミス対応型のAIコード補完ツールで、エンタープライズ開発の生産性向上を狙う。
デル、国内初の「Tabnine Enterprise」搭載AI開発基盤を提供
このソリューションは、Dell AI FactoryとNVIDIAのハードウェアインフラ、さらにAIコード補完ツール「Tabnine Enterprise」を組み合わせたもので、日本市場では初登場となる。
特徴は、オンプレミス環境でのAI支援を可能にした点にある。
従来のクラウド依存型とは異なり、自社内でGPUリソースを活用してAIモデルを動作させることで、コード提案や自動生成をセキュアに実行できる。
コンテキストエンジンによってプロジェクト固有の仕様やルールを理解し、コード品質を維持しながら開発効率を高める仕組みだ。
AIエージェントは、コード自動生成に加えてコンプライアンスレビュー、既存コードとの整合性チェックなども担う。さらに、今後提供予定の「Dell Implementation Services」により、個別の業務ニーズに合わせたモデル調整も可能になる見込みである。
また、大規模言語モデル(LLM)を企業内の開発フローに統合することで、エンジニアの生産性向上に寄与すると同時に、クラウドAPIへの接続を最小限に抑える設計により、IPの流出リスクやコストの最小化も図っている。
加えて、ライセンス違反やコードの脆弱性検出機能、公開コードとの類似度検出といったセキュリティ要件への対応も実装されており、法規制への準拠も支援する。
導入においては、既存の企業ツールと連携可能なコンテナベースの構成により、柔軟かつ迅速な展開が可能だ。
AIで開発現場が変わる 効率化とセキュリティ強化の両立へ
Dell AI Code Assistantの導入により、企業は開発現場の大幅な効率化と情報セキュリティ強化を同時に実現できるようになる。特に、オンプレミス運用によりクラウドに依存せず、IPやソースコードといった機密情報を外部に漏らさずに済む利点は大きい。
また、社内で統一されたスタイルガイドやフレームワークへの準拠が求められる大規模開発チームにとって、AIがコード提案からコンプライアンスチェックまで担うことは、品質確保とリードタイム短縮の両面で有効だと考えられる。
一方で、導入コストや運用リソースの確保といった課題も浮上する可能性がある。オンプレミス環境におけるAI活用には、相応のインフラ整備と専門知識が求められ、すべての企業にとって手軽な選択肢とは限らない。
それでも、クラウド依存を抑えつつAIの利点を活用する流れは今後も強まる見通しだ。国際的な規制強化や情報漏洩対策のニーズが高まるなか、Dellのようなプレイヤーが提供するセキュアな開発支援ツールは、企業のDX戦略の要となり得る。