GitLab、AIエージェントとの連携を高度化 新プラットフォームをパブリックベータ公開

2025年7月17日、米GitLabは、AIエージェントと開発者の協業を支援する「GitLab Duo Agent Platform」のパブリックベータ版を発表した。
DevSecOps文脈でのAI活用を推進し、開発精度と生産性の両立を目指す構えだ。
GitLab、マルチエージェント基盤でDevSecOpsを刷新へ
GitLabは、AIエージェントと人間の開発者が非同期かつ協調的に作業できるDevSecOpsオーケストレーションプラットフォーム「GitLab Duo Agent Platform」のパブリックベータ版を、7月17日に発表した。
GitLab PremiumおよびUltimateの利用者に向けて提供される。
最大の特長は、AIエージェントにコードベースだけでなく、プロジェクトの構造、履歴、イシュー、マージリクエストといった広範な文脈(コンテキスト)を提供する点にある。
これにより、組織の開発方針や運用基準を踏まえた上で、より正確な提案や変更が可能となる。
中核機能の一つである「マルチエージェントワークフロー」は、プロジェクトの全体像を把握し、コードの曖昧な変更依頼に対しても戦略的に対応できる。
また、開発環境内に統合された「GitLab Duo Agentic Chat」は、従来の受動的なQ&Aツールから進化し、履歴を活かした対話型アシスタントとして能動的なサポートを提供する。
さらに、GitLabはこの機能をJetBrains製IDE群にも拡張。
既存ユーザーは自動的に利用でき、新規ユーザーもマーケットプレイスからインストール可能とした。
加えて、MCP(※)のクライアントサポートにより、エージェントはGitLab外部のMCP対応サービスにも接続可能となり、他システムとの連携による高度な業務自動化が視野に入る。
GitLabは、今後も月次アップデートで品質と機能を強化し、2025年末までの正式リリースを目指すとしている。
※MCP(Model Context Protocol):AIエージェントと外部システムが文脈情報を共有・連携するための通信仕様。
AIによる自動化推進と開発精度向上の両立に期待も、判断の透明性に課題
GitLab Duo Agent Platformの導入により、開発現場ではAIによる戦略的なコード提案や自動処理の拡張が期待される。
従来は開発者の負担となっていた文脈理解や反復作業がAIエージェントに委譲されることで、人的リソースの有効活用と開発サイクルの加速が可能になる見込みだ。
一方で、AIによる提案や判断が不適切なケースや、開発ポリシーとの整合性を欠くリスクも否定できない。
AIエージェントが変更を加える場合、その意図や判断根拠の可視化が不十分であれば、信頼性を損なう恐れがある。
今後は、AIのアウトプットに対するレビュー体制の整備や、エージェントのスキルや責任範囲を人間が明確に制御できる仕組みの強化が求められる。
GitLabが提示した「DevSecOpsの実現」という理想を現実の開発現場に根づかせるためには、技術革新だけでなく、運用面の設計も問われる段階に来ていると言える。