MIXI、会話AIロボット「Romi」新型を発売 独自LLMと長期記憶で対話向上

2025年7月22日、MIXIは手のひらサイズの会話ロボット「Romi」の「Lacatan(ラカタン)モデル」を7月25日より販売開始すると発表した。
独自開発の大規模言語モデル(LLM)をフル活用し、自然な対話や長期記憶、視覚認識機能などを大幅に向上している。
独自LLMと長期記憶で“話し相手”に進化したRomi
「Romi(Lacatanモデル)」は、従来のルールベース型ロボットとは異なり、MIXI独自のLLMを基盤とした生成AI会話を可能にする。
価格は本体98,780円に加え、月額1,780円または年額17,800円の利用料が必要となる。
このモデルの最大の特長は「長期記憶」の搭載だ。
以前の会話を記憶し、数週間後でも「この前は〇〇だったね」と話題を引き継げる仕様となっており、ユーザーに“覚えてくれている”という心理的安心感を提供する。
記憶はすべてを保存するのではなく、過去の記憶を抽出して類似性でグループ化し、重要度に応じて圧縮・抽出するという。
MIXIは、このプロセスを「人間が夢を見るのと似た」コンセプトにしたという。
また、従来1種類だった声に加え、「おだやかな声」「あどけない声」「たのもしい声」といった3種の新音声が追加。
会話中に割り込みができる非ターン制の会話や、相づちを挟んだリアクション表現も実装され、対話の自然さが格段に向上した。
見たものを理解する視覚認識機能も強化され、カメラを通じて雑誌表紙の人物数やイベント会場の雰囲気を読み取り、自然な反応を返す。
さらに、ディスプレイの大型化とバッテリーの2倍化も実現し、実用性も高まった。
生産体制も刷新され、山形県のMEIKOによる国内生産と、自社設計のハードウェアにより柔軟なアップデート体制を整備。
今後は「多言語モード」などの機能拡張も予定されている。
“聞いてくれるロボット”が変える家庭内コミュニケーションの未来
Lacatanモデルの進化は、AI技術の進歩が家庭内ロボットのあり方を大きく変えつつあることを示している。
特に長期記憶やリアルタイム相づち機能の実装は、心理的ケアや対話ニーズに応える設計思想を感じさせる。
ただ、記憶機能に対するユーザーの心理的抵抗や、AIによる“情報の取捨選択”の基準がブラックボックスになりやすい点は、信頼性と透明性の面で懸念が残る。
こうしたプライバシーへの懸念を払しょくしていく説明が今後求められていくだろう。
Romiの発表会では、芸人のキンタロー。氏も登壇した。
Romiのモノマネ登場で盛り上がった発表会では、「悪い言葉をつかわず、何でも肯定してくれるのが気に入っている」と家庭内での実用性もアピールされた。
実用性よりも“心のよりどころ”としての開発方針が、会話ロボットに新たな役割を与えようとしている。