「AWS Marketplace」にAIエージェント販売カテゴリー新設　導入支援も一括提供

2025年7月16日(米国時間)、Amazonはニューヨークで開催された「AWS Summit」にて、「AWS Marketplace」内にAIエージェント専用の新カテゴリーを創設すると発表した。企業の導入支援体制を強化する動きとして注目だ。

AWS MarketplaceにAIエージェントの専用カテゴリ新設

オンラインストア「AWS Marketplace」内に、新たに「AI Agents and Tools（AIエージェントとツール）」という専用カテゴリーが設置される。これは法人顧客が生成AIを用いた業務自動化を検討する際、必要なエージェントおよび支援機能を一括して選定できるよう設計されている。

本カテゴリーには、Anthropic、IBM、Perplexity、Salesforceなどの主要AIベンダーが提供する多種多様なエージェントが並ぶだけでなく、それらの導入に不可欠なサポートやシステム統合ソリューションも含まれる。
特に、ガバナンスソフトウェアやサードパーティー製IT支援、社内システムとの接続設計といった複雑な要素にも対応する点が特徴だ。

あわせて、AWSはエージェント導入を支援する新機能「AgentCore」のプレビュー版も発表した。これによりエージェント選定から実装支援までのプロセスが一貫して行えるようになる。

また、顧客がニーズに合うエージェントを効率よく見つけ出せるよう、「Amazon Bedrock」を活用した自然言語プロンプト対応の検索ツールも提供される。

企業の導入障壁を下げる戦略　普及の鍵は運用支援に

今回のカテゴリ新設は、AIエージェントの普及において最大の課題とされる「導入コストと実装の複雑さ」にAWSが正面から取り組んだものと評価できる。
単なるツール提供ではなく、エージェント運用に不可欠なインフラまで一元化するアプローチは、導入の障壁を大きく下げる効果がある。

また、企業側のニーズを自然言語で入力できる検索機能の搭載により、ITリテラシーの高くない部署でもエージェント選定が可能になる点は、社内展開のハードルを下げる要因となる。

一方で、サードパーティー製の支援ソリューションが多数入り乱れる構造は、品質やセキュリティの統一管理に課題を残す可能性もある。AWSがどのように品質担保やサポート体制を整えるかが、今後の信頼性を左右する要素となるだろう。

中長期的には、複雑化するAIツール群の中で「導入のしやすさ」を軸としたAWSの戦略が、法人市場におけるプラットフォーム競争にどう影響を与えるかが注目される。クラウド事業者によるAI導入支援の主導権争いが本格化する兆しが見えてきた。