東京大学、生成AI無料オンライン講座開講 「メタバース工学部」6講座配信

2025年7月15日、東京大学大学院工学系研究科・工学部が、生成AIをわかりやすく学べる無料のオンライン講座を開始すると発表した。
「メタバース工学部ジュニア講座」として、8月10日より小学生から教員までを対象とした6講座をYouTubeライブで配信する。
東大、生成AIを学べる無料講座を全6種で提供
東京大学大学院工学系研究科・工学部は、2025年8月10日から「メタバース工学部ジュニア講座」として、生成AIをテーマにした無料のオンライン講座を開講する。
対象は小学生・中学生・高校生・保護者・教員で、年齢や役割に応じた内容をそれぞれに設け、合計6講座が用意される。
講座の講師は、教育工学を専門とする吉田塁准教授が務め、文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議」の委員としても活躍している。
講座はすべてYouTubeライブで配信され、参加費は無料。事前申込制だが、受講人数に制限はない。日程は8月10日と11日、教員向けには8月22日の夜間にも1講座が設けられている。
講座内容は、生成AIの基本的な仕組みや活用方法、注意点などを、対象別にわかりやすく解説するものとなっている。
なお、申し込みをした人には、当日参加できない場合でも後日アーカイブ視聴用のURLが共有される。受講者は原則として対象年齢に合わせて選ぶが、異なる講座への参加も可能である。
生成AI教育の拡充に向けた布石となるか、東大オンライン講座の波及効果に注目
東京大学が発表した生成AIの無料オンライン講座は、教育界における技術理解の促進と裾野拡大の試みとして注目だ。
対象が小学生から教員まで幅広く設定されていることから、初等中等教育の現場における生成AIの導入や議論を後押しする契機となる可能性がある。
とりわけ、文部科学省の検討会に関与する講師が登壇する点は、政策との連動や制度設計への波及にもつながるだろう。
現時点では、生成AIに対する理解度や教育現場での扱い方にはばらつきがあると考えられる。こうした状況下で、誰もが無料かつオンラインで受講できる講座の存在は、地域や年齢によって生じる情報リテラシー格差の緩和に一定の効果をもたらす可能性が高い。
特に、地方や教育資源が限られた環境においては、全国一律のアクセス環境が学びの機会均等化に寄与すると考えられる。
一方で、生成AIの教育利用には倫理的・技術的な課題も伴うため、今回のような講座が単なる知識の伝達にとどまらず、批判的思考を培うことやリスクへの適切な対応を促すものになるかどうかが問われる。
今後は、こうした講座の内容がどの程度まで学校現場に浸透し、継続的な学びとして根付いていくかが、制度的・社会的な広がりを左右することになるだろう。