JR東日本、運行情報を電話で確認可能に 生成AI活用の自動応答サービスを開始

2025年7月15日、JR東日本は在来線向けの運行情報サービス「どこトレ」に、電話で情報を取得できる自動音声アシスタント「どこトレダイヤル」を7月23日に追加すると発表した。
生成AIを活用し、待たずに正確な案内を受けられる仕組みとなっている。
JR東日本、生成AI活用の「どこトレダイヤル」を7月23日開始
JR東日本は7月23日から、運行情報サービス「どこトレ」の全対応路線において、電話による自動音声案内「どこトレダイヤル」を開始する。
「どこトレ」は、JR東日本アプリやPCで提供されている列車運行情報サービスで、地方の在来線58路線(BRT含む)、秋田新幹線、山形新幹線に対応している。
今回新たに導入された「どこトレダイヤル」は、スマートフォンやPCの操作が難しい利用者でも、電話を通じて音声で情報を取得できる仕組みとなっている。
音声案内では、利用者が路線名や駅名を発話すると、生成AIがそれを認識し、「どこトレ」のデータベースを参照して、該当路線の遅延、運休、発車時刻、列車の現在位置などを案内する。これにより、従来のコールセンター型案内に見られた混雑や待機の課題を解消し、24時間いつでもスムーズな情報提供が可能となる。
対応言語は日本語のみだが、既存の「どこトレ」サービス(Web・アプリ)は引き続き利用可能であり、多様なニーズに応じた案内手段が提供されることになる。
また、聴覚障害者や訪日外国人向けに、駅放送を文字表示する「みえるアナウンス」も8月1日から浜松町駅や渋谷駅など12駅で試行導入される。
表示言語は日本語・英語・中国語・韓国語の4言語で、スマートフォン等に二次元コードを読み込むことで放送内容を確認できる。
試行は2026年3月まで実施され、放送文のカスタマイズやリアルタイム文字化の機能拡張が今後の検討事項となっている。
「どこトレダイヤル」と「みえるアナウンス」が描く次世代の交通情報インフラ
JR東日本が新たに導入する生成AIを活用した音声案内「どこトレダイヤル」と、駅放送の多言語文字表示「みえるアナウンス」は、鉄道利用者への情報提供を質・範囲ともに拡張するための施策であると考えられる。
スマートフォンやアプリに不慣れな高齢者層、視覚・聴覚にハンディを持つ人々、さらには訪日外国人に至るまで、多様な利用者の情報格差を埋める可能性を秘めている。
24時間365日利用可能な「どこトレダイヤル」は、従来のコールセンター依存型の課題を解消するだろう。
一方、「みえるアナウンス」はインバウンド需要の拡大を見据えた多言語対応であり、観光地周辺の駅を中心に順次拡大される可能性がある。
今後、これらの仕組みが全駅に拡大され、AIによる案内精度やUIが継続的に向上していけば、鉄道インフラ全体の「情報バリアフリー化」が加速するだろう。
また、運行情報にとどまらず、混雑状況や駅ナビゲーション、乗換案内など、より複合的なサポート機能へと進化していくことも予想される。