時事通信とAFP、生成AIで速報翻訳 日英対応の新サービス「FASTLOOK」発表

2025年7月15日、日本の時事通信社とフランスのAFP通信は、英文ニュースを生成AIで日本語に自動翻訳する新サービス「FASTLOOK(ファストルック)」を共同で発表した。
企業や官公庁向けに販売し、グローバルな意思決定を支援する狙いだ。
時事通信とAFP、速報翻訳の新サービスを共同開発
FASTLOOKは、AFPが配信する英文記事と、その日本語翻訳を並列に表示するニュースサービスである。
ユーザーはパソコンやスマートフォンを通じて、リアルタイムに原文と翻訳を比較しながら読むことができる。
同サービスの開発と運用はAFPが担い、日本国内では時事通信が販売を担当する。
これまで両社は1949年からニュース契約を結んできたが、協業商品を展開するのは今回が初めてとなる。
発表にあたり、時事通信の境克彦社長は「AFPと時事の長い歴史において極めて画期的な出来事だ」と評価している。
AFPのファブリス・フリース会長兼CEOも「激動の時代にあって企業経営者は意思決定に当たり、これまで以上に迅速かつ信頼できる情報へのアクセスが求められている」と述べた。
さらに、EUのプレスリリースを日英で同時表示する機能も用意されており、国際機関関連の情報収集にも対応する。
AI翻訳の実装で意思決定スピード加速 精度や信頼性に課題も
FASTLOOKの導入により、国際ニュースに対するアクセススピードは飛躍的に向上すると期待される。
特に、多国籍企業や政策決定機関にとっては、リアルタイムの情報を自国語で素早く把握できる点が大きなメリットとなるだろう。
生成AIを活用した翻訳は近年急速に進歩しており、ビジネス用途でも実用レベルに達しつつある。
特に、報道において権威とされる時事通信社とAFPがAI導入に乗り出した意義は大きい。
AIによる翻訳サービスの信頼性が高まり、さらなる普及が見込まれる。
ただし、機械翻訳は文脈や文化的ニュアンスの解釈に弱く、特に政治・経済関連の表現では不正確な訳がリスクとなる可能性もある。
そのため、最終的な判断には人の監視や編集が依然として不可欠だろう。AIの翻訳精度向上と併せて、ユーザーのリテラシーや活用スキルも問われると思われる。
企業や政府機関がグローバル対応を強化する中で、FASTLOOKのようなサービスは、AIと人間の協働を前提とした「情報アクセスの高速道路」として、今後の業務プロセスに浸透していく可能性が高い。