OpenAI、初のオープンウェイトモデル公開を延期 安全性テストに時間要す

2025年7月11日、米AI大手OpenAIのサム・アルトマンCEOは、新たに公開予定だったオープンウェイトの大規模言語モデルについて、公開を延期すると自身のX(旧Twitter)で発表した。時期は未定で、安全性と品質の精査を理由としている。
OpenAI、初の試みとなるモデル公開を延期
OpenAIは当初、推論機能を備えた新たなオープンウェイト(※)の大規模言語モデルを、2025年7月中旬にも公開する予定だった。
しかし同社CEOのサム・アルトマン氏は7月11日、X上で「オープンウェイトモデルを来週公開する予定だった。これを延期する。追加の安全性テストや高リスクな部分の見直しに時間がかかる。どのくらい時間がかかるかは、まだ分からない」とし、公開時期を延期することを明らかにした。
アルトマン氏はさらに、「当社にとって初の試みであり、確実に成功させたい」と表明。延期の具体的な期間については明言を避けた。
同社の研究担当VPであるエイダン・クラーク氏もこれを受け、「機能面でこのモデルは素晴らしいと思うが、オープンソースモデルに対する当社の基準は高く、あらゆる面で誇れるモデルを公開するにはもう少し時間が必要だと考えている」と説明している。
今後の新たな公開時期は不透明であるが、発表のタイミングには注目が集まりそうだ。
※オープンウェイト:AIモデルの学習済み重み情報(パラメータ)を公開する形態。再利用やファインチューニングが可能で、オープンソースに近い性質を持つが、再配布や商用利用には制限がかかることもある。
公開延期が示す慎重姿勢 業界全体に与える影響とは
OpenAIがオープンウェイトモデルの公開を見送った判断は、単なる技術的遅延にとどまらず、生成AIの倫理や安全性に対する企業姿勢を象徴するものと受け取れる。
特に、強力な推論機能を持つモデルの公開は、悪用リスクや社会的影響に対する懸念を伴う。
オープンウェイトモデルは、研究者や開発者にとって再現性や透明性を担保する手段として重要であり、独自のアプリケーション開発にも貢献する。
しかし一方で、悪用による偽情報拡散やセキュリティリスクも高まるとされ、企業には高度なガバナンスが求められている。
今回の延期は、OpenAIがこうした複雑なリスクを正面から受け止め、慎重なプロセスを選んだ結果と見ることができる。
ただし、競合各社との競争が激化する中、タイミングの遅れが市場での影響力低下につながる可能性もある。
今後は、公開までのプロセスやその透明性、ならびに新たな安全基準の確立が業界全体に波及するかが焦点となるだろう。
OpenAIの対応が、他のAI企業の指針となるかどうかが問われていると言える。