LINEヤフー、生成AIで遊びながら学ぶ小学生向け教育コンテンツ「AIでゲームつくりエイター」提供開始

2025年7月11日、LINEヤフーは子ども向けサイト「Yahoo!きっず」にて、生成AIを使ってオリジナルゲームを作れる教育コンテンツ「AIでゲームつくりエイター」の提供を開始したことを発表した。
生成AIリテラシーと創造力の育成を狙ったもので、対象は小学校3〜6年生となる。
子どもが遊びながら学べるAIゲーム制作体験が無料で登場
LINEヤフーは、小学生を対象とした生成AI入門コンテンツ「AIでゲームつくりエイター」を2025年7月11日より公開した。
提供元は同社が運営する「Yahoo!きっず」で、ゲームを遊びながらプロンプト(※)の設計やAIの仕組みを自然に学べる構成となっている。
このコンテンツでは「もぐらたたき」や「マルバツゲーム」など5種のサンプルゲームが用意され、プレイ後にプロンプトを改良することで、オリジナリティを加えた新しいゲームを作成できる。
また、「はてなのたまご」と呼ばれる機能では、一からプロンプトを組み立てて完全オリジナルのゲームを作ることも可能だ。
開発の背景には、LINEヤフーが実施した保護者向け調査がある。
20代から50代の保護者1,000人を対象としたこのアンケートでは、約6割が「子どもに生成AIを活用させたい」と回答し、「小・中学校や自宅での生成AI学習に賛成」とする声も6割強にのぼった。
一方で、「誤情報への不安」や、「子どもの思考力や創造力の低下」を不安視する声も3割以上あったという。
LINEヤフーは、こうした期待と懸念の両面に対応するため、解説機能や利用制限も整備した。プロンプトの書き方や生成AIの仕組みは、イラスト付きで学べる構成となっており、1日のゲーム利用回数は最大20回、深夜はアクセス不可とする制限も設けている。
※プロンプト:生成AIに対して与える命令文や指示文のこと。適切な設計により、AIの出力内容が大きく変化する。
子ども世代のAIリテラシー育成に期待と慎重論 教育現場への波及は
今回の取り組みは、生成AIの入り口としての役割を担うと同時に、子どもが「AIを使いこなす側」になる素地を育てる狙いがあるとみられる。特にプロンプトを改良して思い通りのゲームを形にするプロセスは、単なるプログラミング学習とは異なり、創造的試行錯誤を通じた実践的な学びとなる。
一方で、子どもの生成AI利用には慎重な視点も必要だ。
プロンプトの結果に依存しすぎることで、課題設定能力や論理構築力が養われにくくなるとの指摘もある。AIに「答えさせる」のではなく、「使って形にする」ための教育的支援が求められるだろう。
AI教育が一過性のブームで終わらないためには、単なるスキル習得ではなく、情報倫理・批判的思考・創造的応用といった周辺的な学習要素を一体化させる設計が不可欠だ。「AIを使える子」ではなく「AIを使って何ができるかを考える子」を育てる視点が、今後のカリキュラム整備や教材開発における鍵となるだろう。
今後は、こうした先進的な教材の効果検証と、他の学年・教科への水平展開が注視される局面に入ると見られる。
「AIでゲームつくりエイター」:https://kids.yahoo.co.jp/event/mag/aigame/