2034年に完成予定の渋谷駅再開発 東急・JR東日本・東京メトロの3社が未来の駅構内を動画で可視化

2025年7月8日、東急、JR東日本、東京メトロの3社からなる渋谷駅街区共同ビル事業者は、渋谷駅再開発の完成イメージを紹介する動画を公開した。
駅構内や自由通路、街区全体の変化を歩行者目線で確認できる内容で、2034年度の全体完成を目指す再開発プロジェクトの全貌を伝える。
渋谷駅再開発の完成イメージを3社が動画で公開 2034年度に全体完成へ
東急、JR東日本、東京メトロの3社からなる渋谷駅街区共同ビル事業者は、渋谷駅再開発の完成形を示す新たなイメージ動画を制作し、2025年7月8日に公開した。
再開発プロジェクトは「100年に一度」と称され、駅と街を一体化する大規模な取り組みである。
動画では、駅の改札口や自由通路、周辺デッキの整備後の様子を歩行者視点で確認できる。従来のパースや図面に比べ、空間の立体構成が直感的に把握しやすい内容となっている。
再開発のタイムラインによると、2030年度には東西南北をつなぐ多層的な歩行者ネットワークが整備される。
同時期にJR渋谷駅では改札・コンコースの改修も完了予定で、最大幅20メートルを超える自由通路が誕生する。
2031年度には商業施設「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期」(中央棟・西棟)が開業。既存の東棟と合わせ、首都圏最大級の売場面積を備えた複合施設となる。
全体の完成は2034年度を予定しており、各社は段階的に整備を進めるとしている。
駅と街の融合で利便性向上 歩行者導線と商業集積に期待と課題
今回の動画公開により、再開発後の渋谷駅と街区の変化が具体的に可視化され、利用者や地域住民にとって全体像を把握しやすくなったといえる。
歩行者目線で構内を巡る構成は、日常的に駅を利用する人にとっても将来像をイメージしやすい仕上がりとなっている。
2030年度に整備される歩行者ネットワークや幅広の自由通路は、混雑緩和や回遊性の向上に寄与する可能性がある。
また、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期」の開業により、渋谷全体の商業力がさらに高まり、国内外の観光客やビジネス客の流入が見込まれる。
一方で、工事期間中の混雑や動線の変化による混乱、既存施設との接続性など、段階的整備に伴う課題も残る。3社は「工事期間中もターミナル駅としての機能を保ちつつ、安全を最優先に情報発信を続ける」としており、利用者への丁寧な案内と配慮が求められる。
再開発の成功には、インフラと空間設計だけでなく、情報の可視化や市民との共有姿勢が不可欠だ。今回の動画は、その第一歩として機能していると評価できる。