京滋景気、生成AIと観光が支え 日銀京都支店が6月短観を発表

2025年7月1日、日銀京都支店は6月の企業短期経済観測調査(短観)の結果を発表した。
京都・滋賀両府県の業況判断指数(DI)は前回調査から変わらずプラス9を維持し、生成AI関連やインバウンド需要が回復の牽引役となっている。
生成AIと訪日客需要が京滋経済を下支え
日銀京都支店の短観によると、管内全産業の業況判断DIはプラス9で、3月調査と同水準だった。製造業・非製造業のDIもともにプラス9だが、製造業は横ばい、非製造業は1ポイント悪化した。
支店は「京滋経済に大きな変化はなく、緩やかに回復している状況が確認された」と総括している。
製造業では、生成AI関連の需要が好調で、産業機械や電子部品の一部企業が伸びを示している。
一方、生産用機械や電気機械は、米国通商政策を巡る駆け込み需要の一服で減速した。
非製造業では、訪日外国人客を含む観光需要が全体を支えるが、大阪・関西万博の影響で国内客が流出し、観光業の一部からは「客足の伸び悩み」を指摘する声も上がった。
景気回復持続の鍵は生成AI投資と観光需要
京滋経済は当面、生成AI関連投資とインバウンド需要の二本柱で回復基調を維持すると考えられるが、この構造には持続性への懸念が潜んでいると考えられる。
生成AIは長期的に製造業の競争力強化に資するものの、投資回収には時間を要し、技術人材の育成が不可欠だ。
企業間でデジタル対応の差が広がれば、地域内の産業構造に偏りが生じる可能性もあるだろう。
非製造業では、万博終了後の観光需要の反動減や円安の修正が景気に与える影響が不透明である。インバウンド政策の巧拙が、地域経済の成否を左右する場面も増えるだろう。
これらのリスクを乗り越えるには、生成AIの地域産業全体への波及と、観光資源の多角的な開発が鍵になると考えられる。
行政と企業の連携による持続的成長モデルの構築が急務だと言えるだろう。
参考:「管内企業短期経済観測調査結果(2025年6月調査) 京都府・滋賀県」
https://www3.boj.or.jp/kyoto/data/tankan/t2506.pdf