BOOSTRY、研究開発組織「B.O.O.S.T. Lab」を設立 技術発信を強化し次世代金融へ布石

2025年6月17日、セキュリティ・トークン基盤「ibet for Fin」を推進するBOOSTRYは、技術開発体制を強化する新組織「B.O.O.S.T. Lab」の設立を発表した。併せて、5月に公開していた技術ブログ「BOOSTRY Tech Blog」の本格運用も同日より開始した。
次世代金融に向けた研究開発組織「B.O.O.S.T. Lab」始動
BOOSTRYは、ブロックチェーンを基盤とするセキュリティ・トークン(ST)市場の成長と技術の進化に対応するため、研究開発組織「B.O.O.S.T. Lab(Business-Oriented Opportunity & Strategy for Technology)」を設立した。
同社は、三井住友フィナンシャルグループなどと共に金融インフラ「ibet for Fin」を運営し、国内のST公募市場で高いシェアを誇る。今回の新組織は、ゼロ知識証明(※)や機械学習、暗号化技術といった先端領域を含む研究開発を、より機動的かつ事業直結型で進める狙いがある。
また、BOOSTRYは技術発信の強化も進めており、2025年5月に開設した「BOOSTRY Tech Blog」を6月17日付で本格運用へと移行。従来のリリースやブログに加え、開発視点からの継続的な情報発信を行う体制を整えた。
金融インフラのデジタル化が加速し、セキュリティ・トークンの実用化と法制度の整備が進む中で、企業が技術的な優位性を示しつつ、業界全体の透明性や信頼性を高める必要性があると同社は判断したとみられる。
※ゼロ知識証明:ある情報が「正しい」と証明するために、その情報自体を明かすことなく成立を保証する暗号技術。プライバシー保護や本人認証に応用されている。
開発力と情報発信で金融インフラの未来を主導できるか
BOOSTRYによる新組織の設立と技術ブログの強化は、単なる研究開発にとどまらず、ST市場全体への影響を見据えた戦略的な一手と考えられる。B.O.O.S.T. Labは、規制や市場環境の変化に応じて柔軟に動ける設計で、既存インフラとの連携を前提とした高度な技術導入を可能にするだろう。
特にゼロ知識証明の活用は、プライバシー保護と監査性を両立する技術として注目を集めており、STの信頼性を高める鍵となる可能性がある。これにより、従来の金融商品では難しかったユースケースの創出が期待される。
一方で、開発体制の強化には相応の人的・資金的リソースが必要であり、中長期的な成果が問われる局面もある。ブログによる情報発信の継続も、単発で終わらせずにエンジニアや投資家との信頼関係を築くには工夫が求められるだろう。
とはいえ、国内でST基盤を商用運用している事業者が、自ら技術的知見をオープンに共有する動きは希少であり、業界の健全な成長に資する取り組みと言える。
BOOSTRYが今後、イノベーションと信頼の両輪で市場を牽引できるか、注目が集まる。