生成AIで小学生の英会話学習が進化　富山・朝日町が県内初の公開授業へ

2025年7月8日、富山県朝日町のさみさと小学校で、生成AIを活用した英会話学習の公開授業が行われる。同県内で初となるこの取り組みは、児童の英語力向上と教員の指導負担軽減を目指す実証の場となる。

生成AI英会話学習を県内で初公開、小学生が実演へ

朝日町教育委員会は2025年度、文部科学省の「AIの活用による英語教育強化事業」において、富山県内で唯一の採択を受けた。これに伴い、町内の3つの小中学校で英会話や英作文に生成AIを導入した授業を進めている。
児童は1人1台の端末を使って、AI搭載の専用アプリによるスピーキング学習に取り組んでおり、発音や語彙の正確さが即時に評価される機能が特徴だ。

2025年7月8日に予定されている公開授業は、導入から約1カ月が経過した「さみさと小学校」の5年生を対象に実施される。教育委員会関係者や教員が視察に訪れ、児童の学習意欲や、教員の負担を軽減する授業スタイルの有効性を検証する。
木村博明教育長は、「全国的にも先進の取り組みであり、児童のスキルがどのように伸びるか実証していく」と語っている。

教育の個別最適化に期待と課題　生成AIがもたらす変革

本取り組みは、生成AIの実践的な教育活用例として、全国の自治体や教育現場から注目を集めるだろう。
生成AIの導入は、児童一人ひとりの習熟度に応じたフィードバックを即座に提供できるため、従来の一斉授業では難しかった「個別最適化」が実現可能になる点が最大の強みである。
特に英語教育においては、発話機会の確保と即時評価の両立が、スピーキング力の向上に直結すると考えられる。

一方で、生成AIの教育利用には課題も残る。
アプリの評価精度が児童の実力を正確に反映できているか、過度な機械依存にならないかといった懸念が存在する。また、教員がAIを効果的に使いこなすための研修や運用支援の体制も不可欠だ。

それでも、朝日町のような地方自治体による先行的な導入は、全国の教育現場におけるAI活用のモデルケースとなりうるだろう。教育効果の可視化や運用のノウハウが蓄積されれば、今後は他地域への水平展開も期待できる。

児童にとっては、対人プレッシャーの少ない環境で安心して英語を話せることが、学習意欲の向上につながることもあるのではないだろうか。
教育現場における生成AIの活用は、今後の指導方法そのものを根本から変える可能性を秘めているといえる。