イーロン・マスク氏のxAI、43億ドルの追加調達を目指す 社債発行に続き資金確保へ

イーロン・マスク氏が率いる人工知能企業xAIが、新たに43億ドル(約6200億円)の資金調達を目指し、投資家との協議を進めていることが、米ブルームバーグによって6月18に報じられた。
これは先に発表された50億ドル規模の社債発行とは別枠の増資であり、資金拡充を急ぐ姿勢が明らかになった。
xAI、社債発行とは別に巨額増資を計画
イーロン・マスク氏が設立したxAIは、AIチャットボット「Grok(グロック)」を開発する企業であり、急速な事業展開を背景に追加資金を必要としている。
ブルームバーグが入手した資料によると、xAIは設立からこれまでに株式発行を通じて140億ドルの資金を調達しており、その多くはすでに活用済みである。
2025年3月末時点の現金残高は40億ドルにとどまっており、追加の資金調達が急務となっている。
並行して進められている50億ドル規模の社債発行は、モルガン・スタンレーが主導しているが、同社およびxAIは本件についてコメントを控えている。
なお、過去の資金調達ラウンドには著名なVCであるアンドリーセン・ホロウィッツやセコイア・キャピタルが参加している。
資料を提示された投資家によると、xAIの企業価値は2024年末時点の510億ドルから、2025年第1四半期末には800億ドルへと上昇したとの説明がなされている。
高まる企業価値と投資熱 巨額調達の成否は事業進展に左右
xAIが描く資金調達戦略は、成長加速と市場競争に勝ち抜くための布石といえる。
ただし、その実現には依然として課題も多い。
AI開発には膨大な計算資源と人材、データが必要であり、資金需要は今後も拡大すると予測される。今回の調達が実現すれば、Grokの機能向上や、xAIの独自インフラ強化、採用拡大などに活用される可能性が高い。
特に、OpenAIやAnthropicといった他の有力企業との競争においては、スピードとスケールが競争優位性を左右するだろう。
一方で、xAIが抱える高額な資金消費体質に対して、投資家が慎重姿勢を強めるリスクもある。現金残高の減少が続く中で、持続的な収益モデルの構築が求められる局面にあるといえるだろう。
今後の資金調達の成否は、Grokの商業的成功やxAIのプロダクト戦略がどこまで成果を挙げるかに大きく依存すると思われる。
マスク氏のAI構想が実現に近づくかどうかが、再び注目を集めることになりそうだ。