次世代機は今なお必要か ソニー新CEO、プレステ展開は「最優先事項」と名言

2025年6月13日、ソニーグループが公開した事業説明会において、新CEO西野秀明氏が次世代PlayStationの必要性と戦略について言及した。クラウド時代におけるゲーム機の価値を再定義する発言に業界の注目が集まっている。
クラウド全盛でも「コンソールは最優先」と明言
ソニーグループは6月13日、各事業分野の戦略資料および説明会動画を公開した。ゲーム&ネットワークサービス部門では、新CEOである西野秀明氏が米国の社内関係者とともに対談形式で登場し、PlayStation戦略に関する質疑応答が行われた。
注目を集めたのは、「次世代コンソールは必要か」との問いに対する回答である。西野氏は「ネットワークに依存しないローカル環境でのゲーム体験は、いまなお多くのプレイヤーに求められている」と述べた。
その上で、クラウドゲームの技術は進展しているものの、ネットワークの安定性という本質的な課題は依然として残っていること、またコスト構造の課題も指摘した。
次世代PlayStationの開発について詳細は明かさなかったものの、同社にとって「最優先事項」と明言。今後も専用ハードウェアによる体験価値の提供を軸とする方針を示した。
質疑ではさらに、携帯端末「PlayStation Portal」についても言及があり、「スマートフォンの画面は高解像度の映像を楽しむには小さすぎる」とし、Portal導入ユーザーは他よりもプレイ時間が30%長いとのデータを紹介した。
こうした独自端末によるプレイ環境の最適化が、PlayStationのエコシステムに貢献していることを強調した。
クラウド進展でも「専用機」の強みは揺るがず
今回の発言は、ゲーム業界全体がクラウドやマルチデバイス対応へと舵を切る中でも、ソニーが引き続き専用コンソールによるローカル体験を重視する姿勢を示した点で重要だ。
クラウドゲーミングの可能性は技術的進化によって広がりつつあるものの、インフラの地域差や接続環境によって体験の質が左右される現状では、安定性と応答性に優れたローカル環境が依然優位に立つ領域も多い。
また、ハードウェアを軸とした戦略はソフトやサービスとの結びつきを強化し、ユーザー囲い込みにも寄与する。実際、「PlayStation Portal」による利用時間の増加は、単なる端末販売以上の波及効果を証明している。
一方で、マイクロソフトの「Xbox Game Pass」などサブスク型クラウドサービスの拡張に対し、ソニーがどのように競争軸を設定していくかも今後の焦点となる。クラウドと専用機の両立をどう実現するかが、プラットフォーム戦略の成否を左右するだろう。
Sony Group Portal – Business Segment Presentation & Fireside Chat 2025:
https://www.sony.com/en/SonyInfo/IR/library/presen/business_segment_meeting/