コインベース、最大4%のビットコイン還元カードを発表 米アメックスと提携し今秋提供へ

米仮想通貨取引所大手のコインベースが、最大4%のビットコイン還元を特徴とするクレジットカード「Coinbase One Card」を発表した。米アメリカン・エキスプレスのネットワークを活用し、今秋のサービス提供開始を予定している。
コインベース、仮想通貨保有額に応じて還元率を決定
「Coinbase One Card」は、コインベースが展開する有料サブスクリプションサービス「Coinbase One」会員向けの専用カードである。
年会費は49.99ドルから設定されており、ユーザーがCoinbase上に保有する仮想通貨資産の総額に応じて、還元率が最大4%まで変動する仕組みが採用された。
還元がビットコイン(BTC)で行われる点が大きな特徴であり、仮想通貨を日常的に利用するユーザーにとって、現実世界の決済と資産形成を同時に進められる利点がある。
この新カードは、アメリカン・エキスプレスの決済ネットワーク上で稼働し、世界中の加盟店で利用可能とされている。コインベースはこれにより、仮想通貨ユーザーのリアルな決済体験の拡大を目指す。
Coinbase Oneの既存特典としては、月500ドルまでの取引手数料無料、USDCの年率4.5%報酬(※)、ETHやSOLなどのステーキング報酬5%上乗せ、さらに同社のレイヤー2ネットワーク「Base」における月10ドル分のガス代クレジットなどがある。
※USDC報酬:米ドルに連動したステーブルコイン「USDC」に対して付与される利息型の報酬。
還元型カードがもたらす影響 仮想通貨利用の促進とリスク
コインベースによるビットコイン還元型クレジットカードの提供は、仮想通貨の「実用化」を進める大きな一手と考えられる。
これまでも一部企業が暗号資産による還元を試みてきたが、大手取引所とアメックスのタッグは、信頼性・利便性の面で一線を画す取り組みだ。
一方で、仮想通貨の還元には価格変動リスクも伴うだろう。
たとえば、還元時のBTC価格と現金化時の価格に差が生じれば、実質的な還元価値が目減りする可能性がある。
これに対してはあくまで「保有資産の長期活用」という方向性で打ち出していけば、価格変動を逆にチャンスと捉える層の取り込みを狙えるのではないだろうか。
今回のカードが「Coinbase One」会員限定である点にも注目したい。
仮想通貨の活用に意欲的なユーザーを囲い込み、Coinbase One会員に対する優遇施策を拡充することで、他社サービスとの差別化を図る方針なのではないだろうか。
仮想通貨規制や税制の動向が依然として不透明な中では、こうした「実需」を伴うサービスが利用拡大の鍵を握るとも考えられる。
クレジットカードという既存インフラを通じて、仮想通貨の一般普及がどこまで進むか、今後も注目したい。
参考:Coinbase One Card 公式ページ
https://www.coinbase.com/creditcard