法務業務の効率化を推進 マネーフォワード、AIリーガルテック協会に加盟

2025年6月4日、株式会社マネーフォワードは、AIを活用した法務分野の効率化を推進する業界団体「AIリーガルテック協会」への加盟を発表した。
契約書作成やリース判定など、同社のAI機能の進化が法務業務の在り方を大きく変えようとしている。
契約からリース判定までAIで対応 マネーフォワードが提供強化
マネーフォワードは、契約関連業務におけるAI活用を先行して進めてきた企業の一つである。2021年より提供している「マネーフォワード クラウド契約」は、契約書の作成から締結、保管・検索に至るまでの工程を一元管理できるプラットフォームだ。
2024年には生成AI「GPT-4o」を活用した契約書の自動入力機能を追加。さらに2025年3月には、AI-OCRによる紙の契約書の一括アップロード・デジタル化を実現し、業務負担の大幅な軽減を図った。
6月には、新リース会計基準に対応した「AIリース判定機能」の提供を開始した。
この機能は、契約書の文面からリース契約に該当するかどうかをAIが判断するもので、会計処理の正確性とスピードを両立させる狙いがある。
今回のAIリーガルテック協会への加盟を通じ、マネーフォワードは自社サービスの高度化のみならず、業界全体への技術普及にも寄与していく姿勢を明確にした。
AI化がもたらす業務改革と法務人材への影響
マネーフォワードの取り組みは、法務業務の効率化にとどまらず、法務部門の役割や人材像にも変化を及ぼす可能性がある。
契約内容の読み取りや判断業務がAIで自動化されることで、従来のルーチン業務から脱却し、戦略的法務へのシフトが加速するだろう。
一方で、AIが出した判断の正当性や法的リスクへの対応は依然として人間の知見に頼る部分が大きいため、AIと人間の協働体制の構築は不可欠になるはずだ。
リーガルテック市場自体は、現在拡大傾向だ。
特に日本企業においては、紙文化や属人化が根強く残る法務業務のデジタル化は急務であるため、AI活用による改革余地は大きいだろう。
マネーフォワードのような先行企業が技術投入を行えば、他の企業の導入ハードルを下げる可能性も十分に考えられる。
業界団体との連携を通じて、標準化・ガイドライン整備が進めば、法務業務全体の変革が現実味を帯びてくるのではないだろうか。