MLB、2026年に「ロボット審判」導入へ 球審の判定にAIが介入

2025年6月4日、米スポーツメディア「ジ・アスレチック」は、米メジャーリーグ(MLB)が2026年シーズンから自動ストライク・ボール判定システム(ABS)を正式導入する見通しだと報じた。
韓国プロ野球ではロボット審判がすでに導入されており、判定の透明性向上や試合時間の短縮に成功している。
MLB、2026年からABSチャレンジ制度導入を正式提案
MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは、2026年シーズンからの「自動ストライク・ボール判定システム(ABS)」導入を正式に提案する意向を明らかにした。
この提案は、MLBの競技委員会に提出される予定であり、同委員会はオーナー6名、選手代表4名、審判1名で構成されている。
リーグ側が過半数を占めることから、提案の可決は確実視されている。
ABSは、各チームに1試合あたり2回のチャレンジ権を与えるシステムで、球審の判定に対して異議を申し立てることができる。この制度は、2025年のスプリングトレーニングやマイナーリーグで試験運用され、好評を博している。
マンフレッド氏は、「各球団はABSに対して非常に前向きな姿勢です」と述べている。
なお、MLBではバットのスイング軌道が計測されており、ハーフスイング判定へのチャレンジ導入も検討課題となっている。しかしコミッショナーは「ハーフスイングについてはまだ決定していない」として、明確な言及を避けた。
ABS導入の影響と課題 公平性向上と人間味の喪失
ABSの導入は、試合の公平性や判定の一貫性を高める一方で、野球の「人間味」を損なう可能性もあると考えられる。
特に、キャッチャーのフレーミング技術や、投手が審判の傾向を読む戦術などが無効化されることには懸念がある。
韓国プロ野球(KBO)では、2024年からABSを全面導入し、試合時間が平均19分短縮された。また、判定精度は99.9%に達している。
ただし、導入初期にはストライクゾーンの設定や運用方法に関する混乱も見られた。
MLBでも、ABSの導入により、判定に対する抗議や論争が減少し、試合の進行がスムーズになることが期待できる。
今後、MLBは選手会や審判団との協議を重ね、ABSの運用方法やルールの詳細を詰めていく見込みだ。
テクノロジーと伝統の融合が、野球の未来をどのように形作るのか、今後も注目したい。