ソニックラボ、米国で初の合法エアドロ実現 2億Sトークンを居住者に配布へ

2025年6月3日、EVM互換ブロックチェーン「Sonic」を開発するソニックラボが、約2億Sトークンのエアドロップを米国居住者向けに実施すると発表した。米証券法に準拠したKYC済みのエアドロップとして、公開資料上初の事例となる。
米規制当局に準拠、合法的なトークン配布を実現
ソニックラボは、EVM(※)互換レイヤー1ブロックチェーン「Sonic(ソニック)」の開発主体として、2025年6月3日に米国居住者を対象としたSトークンのエアドロップを開始すると発表した。
配布されるトークンは約1億9,050万Sで、日本円換算で約111.13億円相当、総供給量の6%にあたる。
配布方法は、25%が即時利用可能で、残り75%には270日間のベスティング期間が設定される。これにより、短期的な売却圧力を抑え、ネットワークの安定性を確保する狙いがあると見られる。
従来、多くの暗号資産プロジェクトは、米証券取引委員会(SEC)の規制回避のため、米国居住者を対象から除外してきた。ジオブロッキングにより、米居住者は過去4年間で約26億ドル相当のエアドロップ機会を逸していたとされる。
ソニックは、かつてファントム(Fantom)として知られていたブロックチェーンの後継であり、2024年12月18日に正式ローンチされた。
毎秒1万件以上のトランザクション処理とサブセカンドファイナリティを特徴としており、EVM互換性を持つ高速なネットワークとして注目できる。
合法化がもたらす波及効果 他プロジェクトへの布石となるか
今回のエアドロップで最も注目すべき点は、ソニックラボがKYC(本人確認)を含む厳格な法的要件を満たし、米国規制当局との適合を実現した点である。
これにより、米国市場への合法的アクセスが可能となり、他の暗号資産プロジェクトにとっても先例となる可能性がある。
ソニックラボは過去にも、旧Fantom時代に約3億7,000万FTM(当時約315億円相当)のインセンティブプログラムを実施しており、今回のエアドロップはその戦略を進化させた形だ。
配布はランダムではなく、Sonicネットワーク上でのアクティビティやゲーム参加によって獲得したポイントに基づいて行われる。また、早期にトークンを請求したユーザーにはバーン(※)ペナルティが課される設計となっており、より健全なエコシステムの構築を目指している。
この動きにより、米国のWeb3ユーザーや開発者が、これまで以上に積極的にプロジェクト参加に関与できるようになると考えられる。米国は依然として規制が厳しく、多くのプロジェクトが参入をためらう環境にあるが、ソニックの事例はその状況を変える起点になるかもしれない。
合法的なトークン配布が広がれば、米国内におけるWeb3プロジェクトの活動は活性化し、よりオープンで透明性の高いエコシステムの形成につながる可能性がある。
※EVM(Ethereum Virtual Machine):イーサリアムなどのスマートコントラクトを実行する仮想マシン環境。他のブロックチェーンでもEVM互換を持つことで、既存のdAppsをそのまま利用できる。
※バーン:トークンを意図的に永久凍結または消滅させる処理。流通量の調整や価格維持などに利用される。