野村総合研究所が「Box Enterprise Advanced」導入 AIで全社業務の生産性を抜本改革へ

2025年6月4日、野村総合研究所(NRI)が、「Box Enterprise Advanced」プランを国内で初めて導入したとBox Japanが発表した。生成AIとワークフローの統合により、全社的な業務効率の抜本的改革を図る狙いがある。
NRIが国内初の高度Box AI導入で全社業務を再構築
NRIは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する立場として、自社でも先進技術の導入に積極的に取り組んできた。2019年にコンテンツ管理基盤として「Box」を導入して以来、安全なファイル共有と情報資産の保管を推進してきた。
そして今回、さらに高度な業務最適化を目指し、「Box Enterprise Advanced」プランを新たに採用した。これは国内初の導入事例であり、生成AIの全社的活用を加速させる大きな一手となる。
新プランでは、AIエージェントが広報資料作成の原案支援や社内ガイドラインとの整合性確認を担う。また、契約情報の自動抽出や、ヘルプデスク対応の一部自動化も進めることで、人的ミスの削減と業務負荷の軽減を狙う。
これらの取り組みによって、煩雑な手作業から社員を解放し、付加価値の高い業務へ集中させる体制を整える方針だ。
注目すべきは、AI導入の目的が単なる効率化ではなく、「やらなくてもよい業務」を排除し、人間が本来注力すべき領域に集中できるようになる点だ。
NRIはこうした改革を通じて、組織の全体最適を追求している。
AI×ワークフロー統合で企業の情報資産活用が加速か
今回の導入は、NRI社内に分散していた情報資産の一元管理を進め、AIとの連携を強化することに大きな意味がある。
文書やノートといった非構造化データ(※)をAIで処理することで、情報の可視化や意思決定のスピードが格段に向上する可能性がある。
広報や契約管理といった部門に限らず、組織全体のワークフローがAIと結びつくことで、従来の業務構造そのものが変わることもあり得るだろう。
たとえば、従来は人手が必要だったガイドライン遵守やリスク検知といった業務が、AIによってリアルタイムかつ高精度に実行されるようになる。
一方で、AIの判断や出力内容への過信は禁物であり、ヒューマンチェックの役割も依然として重要だ。AIが自動生成する情報に対する検証体制の構築や、情報の誤認リスクを防ぐ仕組みづくりが求められる。
NRIの取り組みは、他企業にとっても先進事例となるだろう。
特に大手企業にとっては、分散する情報資産を統合し、AIとワークフローを融合させることで、新たなビジネス価値を生む道が開かれやすくなると考えられる。
NRIの実践が引き金となり、国内企業全体におけるAI活用の裾野が一気に広がるか、今後も注目したい。
※非構造化データ:文書や画像、音声など、形式が一定でなくデータベース化しにくい情報のこと。AIはこの種のデータの処理に強みを持つ。