総務省はスマートフォンの実効速度を計測するガイドラインの改正案を公表した。
2015~2025年度の計測データを用いた検証を踏まえ、計測地点を従来の約1,500地点から約700地点へ削減する方針だ。
実効速度の計測地点を約1,500から700地点に削減
総務省が2026年10月26日に公表した改正案は、移動系通信事業者が提供するインターネット接続サービスの実効速度について、計測手法や利用者への情報提供手法などを定めたガイドラインを見直すものだ。
従来は10都市で合計約1,500地点を計測する仕組みだったが、改正案では約700地点に減らす方針を示した。
見直しの背景には、計測地点を減らしても、従来と同等の結果を得られることが技術的に検証された点がある。
実効速度適正化委員会(電気通信サービス向上推進協議会)が過去の計測データを分析し、地点数の削減によって結果にどの程度の差が生じるかを調べた。
その結果、計測地点を約700地点としても、約1,500地点での計測と同等の結果が得られることを確認したという。
検証には、2015年度から2025年度までの各年度のデータが使われた。
地点数を減らした場合と従来の計測結果との類似度を評価するため、コルモゴロフ・スミルノフ検定を用いて差分を分析した。
今回の検証では、2つの分布の差を示すKS Statisticが0.05未満であれば、差が小さく、類似度が高いと判断する基準を用いている。
改正案では、計測対象を10都市合計で約140メッシュとし、1メッシュ当たり5地点を計測することで、合計約700地点とする。
計測場所の選定には、総務省が実証時に作成した計測地点選定ソフトを活用する方針だ。
総務省は今回の検証結果を踏まえ、計測地点を削減しても消費者への影響に特段の変化はなく、消費者保護の観点からも問題はないとの見解を示している。
また、ガイドラインの改正では、これまでの取り組みの進捗や結果を反映した記載の更新と、実質的な内容の変更を伴わない形式的・技術的な修正も行う方針である。
計測の効率化に期待 速度情報の信頼性維持が焦点
計測地点を減らせば、実効速度の計測に伴う作業負担を抑えながら、通信サービスの比較に必要なデータを維持できる可能性がある。
計測の規模が適正化されれば、削減した作業負担やコストを測定結果の分析に振り向ける余地も生まれるだろう。
また、計測作業の負担軽減を契機として、利用者にとって分かりやすい結果の提示方法を検討することにも意義がある。
一方で、地域ごとの細かな通信品質の違いを把握しにくくなるという懸念が残る。
特に、駅周辺や商業施設など利用者が集中する場所では、局所的な速度低下を見逃すおそれがある。
統計的な同等性が確認されていても、個々の利用者が体感する通信品質まで十分に反映できるとは限らないだろう。
今後は、計測結果の比較可能性を保ちながら、利用者が自分の生活圏での通信品質を判断しやすい情報提供につなげられるかが焦点となる。
地点数の削減を単なる効率化にとどめず、測定結果の透明性や理解しやすさもあわせて検討することが、制度への信頼を保つうえで有効と考えられる。
総務省 「移動系通信事業者が提供するインターネット接続サービスの実効速度計測手法及び利用者への情報提供手法等に関するガイドライン」の改正について
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