トレンドマイクロは、日本の企業や個人を対象とする「Japan Cyber Resilience Initiative」を発表した。
最大100億円相当のライセンスクレジットや専門家の技術支援を通じ、AI時代のサイバー防御強化を後押しする。
最大100億円相当の利用枠、専門家支援も
2026年10月19日、トレンドマイクロは、法人向け事業「TrendAI」を通じ、対象組織に総額最大100億円相当の「TrendAI Flex」ライセンスクレジットを提供する計画を発表した。
セキュリティ基盤「TrendAI Vision One」の導入・活用を支援するほか、「TrendAI Flex Unlimited」を通じてAIセキュリティなどの追加機能も利用できるようにする。
支援は現金給付ではなく、ライセンスクレジットとして提供される。
初期段階では、重要インフラ事業者や大企業、それらのサプライチェーンを支える中小企業を優先する。
支援は対象組織のニーズや適用条件などに応じて段階的に提供し、パートナー企業との連携を通じて対象範囲を拡大する方針だ。
フォワード・デプロイド・エンジニア(FDE※1)がリスクの特定や対策の優先順位付けを支援するほか、MDR(※2)を活用した継続的な脅威監視やインシデント調査などの追加支援も提供する。
対象法人にはパートナー経由で最大10日間の専門サービスを無償提供する施策も含まれる。
中小企業向けには「ウイルスバスター ビジネスセキュリティサービス」の60日間無料体験を用意する。
個人向けには「詐欺バスター」について、購入時の利用期間90日間延長や、アプリストア経由での90日間無料体験を提供する。
いずれも2026年12月31日までの利用開始が条件となる。
LINE関連サービス事業者と連携したAI詐欺検知も、年内の実運用開始を目指して準備中だ。
背景には、国内で公表されたサイバーセキュリティインシデントの増加がある。
同社の集計では、国内で公表されたサイバーセキュリティインシデントは2026年1〜9月に607件となり、2025年通年の594件を上回った。
数値は10月9日時点のもので、今後変動する可能性がある。
※1 FDE:顧客の現場に入り、課題の把握から技術導入まで伴走するエンジニア。
※2 MDR:専門家がセキュリティ上の脅威を継続的に監視・検知し、調査や対応を支援するサービス。
導入の負担軽減に期待、支援条件が焦点
今回の施策は、予算や専門人材が限られる組織にとって、防御体制を見直すきっかけになり得る。
ライセンス利用枠と技術支援を組み合わせることで、製品の導入だけで終わらず、リスクの把握から対策の運用まで進めやすくなる可能性がある。
特に、大企業のサプライチェーンを支える中小企業の対策強化は、取引先を含む防御体制の底上げにつながる可能性がある。
一社のセキュリティ上の弱点が他社に影響するリスクを抑えるうえでも、こうした支援には意義があるだろう。
個人向けの詐欺対策まで対象に含めた点も、組織外に広がる脅威を意識した取り組みと評価できる。
一方で、最大100億円という規模が、そのまま各企業の費用削減額を示すわけではない。
支援は現金給付ではなく、対象要件やクレジットの配分方法、利用可能なサービスなどの詳細は今後公表される。
さらに、無償期間が終わった後も防御体制を維持するには、継続的な運用が欠かせない。
支援終了後の利用条件によっては、費用負担が課題となる可能性もある。
今後は支援条件の具体化に加え、参加企業のリスク低減につながるか、支援終了後も防御体制を維持できるかが、施策の実効性を左右する重要な要素となるだろう。
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